ギラギラと灼熱の太陽が輝く真夏の一日。
海に行って愛犬と一緒に思いっきり遊びたい。
そんなふうに思ったあなた。
ちょっと待って。
犬との海水浴には、3つの注意点があります。
目次
注意点その1「規則」
ワンちゃんと一緒に海水浴に行きたぁ~い。
意気込んで出かけても、ワンちゃんが立入禁止だったらどうしますか?
目次に戻る夏の海水浴場の4割は犬禁止
海水浴場では、シーズン中には「犬立入禁止」の規則を設けている場所が結構たくさんあります。
「ペット同伴禁止」と定めているところが多いのですが、実質的には犬同伴を禁止しています。
下の図は、関東の海水浴場110カ所について調べた2015年の結果ですが、約40%の海水浴場ではペット同伴禁止と定めています。
犬を連れた散歩でただ通るだけでもダメな場所もあるし、同伴可でも犬を海に入れてはいけないところもあります。
愛犬家から見ると、「なんて意地悪な規則」と感じるでしょうが、世の中には、いろいろな感性の人がいますから、仕方ありません。
犬の臭いに敏感な人もいるでしょうし、毛が飛んでくると思う人や、アレルギーの人もいるかもしれません。
肌を露出している場所ですから、普段の街なか以上に、敏感に反応する気持ちも理解してあげてください。
マナーとして、犬同伴を禁止している海水浴場への殴りこみは、やってはいけませんよ。
事前に、電話やネット検索などで確認しておきましょう。
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海水浴場でのマナー
砂浜には、遊んでいる子どもたちが放置しているビーチボールや浮き輪などが転がっています。
これらのビニール製品は犬の爪で簡単に穴が開きますから、不用意に乗っかったりしないように注意しましょう。
砂浜に落ちている珍しいものを見つけたら、つい口にしてしまう誤飲も珍しくありません。
拾い食いをしないように気をつけてあげてください。
また、開放感に酔ってリードを外してはいけません。
初めて行く土地で、何が起こるか分かりません。
リードを付けるのは、愛犬家の絶対のマナーです。
慣れない場所に連れだされた犬が興奮して、思わず排便排尿をすることがあります。
当然、大便は拾いあげて袋に詰めるなどして持ち帰ります。
尿の処理は難しいですが、ペットボトルの水をまいて薄める(ふり)くらいはするべきでしょう。
実質的には、ほとんど意味がないポーズでしかありませんが、周囲で見ている人たちにとっては、飼い主がちゃんと処理をしているようにみえるものです。
水遊びの後は、お腹が冷えて緩くなる可能性があるので、トイレタイムを多めに取ってあげましょう。
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注意点その2「熱」
下の写真は、夏のある日のアスファルト道路での測定結果です。
この日の外気温は35℃でした。
手持ちの赤外線温度計でアスファルトの表面温度を測ってみたら、なんと61.4℃にも達していました。
ちなみに日陰でさえもアスファルト表面は、気温よりも10℃以上高温で46℃でした。
犬は熱に弱い
海水浴場は暑いところです。
しかも砂浜は平地なので日陰がありません。
直射日光に晒された砂浜の温度は軽く60度を超えているのは間違いないし、80度近いかもしれません。
愛犬家ならご存知でしょうが、犬は汗腺が少なく体温調節ができないために、人間よりも熱に弱いのです。
だから、口から舌をだしてハァハァやっているのです。
しかも、犬は地面に近いことを考えてあげましょう。
我が家のビーグル犬の顔の高さは35センチ、わたしの顔の高さは165センチ。
実に130センチものさがあります。
60℃以上の熱源である地面から、わずか35センチのところに顔があるって、想像するだけでも暑そうです。
このような真夏の砂浜に犬を外に連れ出すのは、好ましいことではありません。
水中で遊んでいる時間以外は、常に日陰にいられるような、いわばドッグランのような「ドッグビーチ」でもなければ、真夏に犬を連れて行くべきではありません。
もし、連れて行ったとしたら、犬の脱水症状や熱中症の症状に十分に注意してあげましょう。
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肉球のやけどに気をつけて
砂浜の温度が60℃を超えると、犬の肉球(パッド)のやけどが心配です。
犬が足を舐めたりしていたら、注意深く見てあげましょう。
- 水ぶくれができていないか
- 割けていないか
- ケロイド状になっていないか
- ついでに指と指の間に怪我や異物がないか
やけどや怪我があったら獣医に診せてください。
治療と快復が難しい部位なので、やけどや怪我をさせない配慮がとても大事です。
飼い主が自分の手で地面に触ってみて、熱いと感じるようなら犬を歩かせないくらいの優しさがあってもいいと思いますよ。
注意点その3「塩」
海水浴特有の現象に「塩」の問題があります。
目次に戻る皮膚炎の可能性
海水が付着したまま乾燥すると、皮膚が塩っ気をもって、ベタベタした感じがするので、人間でも気持ちが悪いはずです。
それは、犬だって同じです。
いや、毛で覆われている分、塩分の付着量が多く不快感は倍増します。
塩分には、潮解性といって、空気中の湿気を吸水してベタベタする性質があります。
犬の毛が塩分でベタベタしたままでいると、皮膚炎になる可能性があるんですよ。
皮膚炎がひどくなって、ごそっと毛が抜け落ちたら可愛そうだし、手入れが悪いみたいでみっともないです。
海水に浸かったら、真水できれいに洗ってあげましょう。
犬を洗えるシャワー設備がなければ、海に入れるべきではありません。
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海水を飲んで下痢
海水は、どうしても口から入るので多少は飲むものです。
海に浸かった犬に、海水を飲むなという方が無理ですね。
犬の体質によっては、下痢をする可能性がありますので、数日間は注意深く便を観察しましょう。
過剰な塩分(ナトリウム)を体内に貯めておくことが有害なので、むしろ、下痢をしてくれたほうがよいのです。
その際、腸内環境のバランスが崩れますから、
- 真水を多めに与える
- 犬用ミルクを与える
- 肉の茹で汁を与える
このように多飲させて、消化器系を洗浄するなどのサポートをしてあげましょう。
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意外な結論とは
楽しみにしていたワンちゃんとの海水浴ですが、犬の立場になって考えてみましょう。
初めて出かける真夏の海水浴は、犬にとっては試練にほかなりません。
犬と一緒に楽しい海水浴を夢見るのは勝手ですが、はじめての経験は、犬にとっては楽しくない試練の時だということを忘れないで下さい。
今後、海辺で生活するとかサーフィン犬にそだてようとか目的があるなら、多少無理をしても海水にも慣れて貰う必要があります。
が、しかし、
- 長時間車に揺られて、
- 熱い砂浜を歩かされて、
- しょっぱい水を飲まされて、
- ベトベトのまま帰宅。
- 挙句の果てに
2日間も下痢で気持ちが悪い。
こんな、つらい経験を犬が喜ぶはずがありません。
僭越ながら、同じく犬を飼っている者としての結論を申し上げます。
愛犬家を自負するなら、犬との海水浴計画は、おやめなさい。
他にも、愛犬家なら読んでみたい記事があります
⇒ 犬がタオルを噛む理由!禁止しないでうまく遊ばせましょう。
⇒ 犬の年齢を人間の年齢に換算する式は3つのイベントで決まる。
⇒ 犬はどんな夢を見るのでしょうか?推測してみましょう。
筆者独自の視点で書いていますので、一般的な論調とは少し違うかもしれませんが、お楽しみください。
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コメント
突然のメッセージ失礼いたします。
環境教育を行っているNPO FEE Japan西村と申します。現在海の認証を日本で始めるに当たり、準備を進めています。
そこで、日本の海水浴場の犬の不可について調べている際に、こちらのサイトを拝見いたしました。
上記に書かれている、2015年の関東の110の海水浴場の犬の不可につきましてはどのように調べられたのでしょうか?現在ペットの海岸への持ち込みについて調べているのですが、市町村単位での条例などは見つけられていない状況です。
大変失礼とは存じますが、上記の海水浴場110箇所について、どのように調査を行ったのか、お知らせいただけませんでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
FEE Japan 西村
西村様
コメントありがとうございます。
「ウォーカープラス」という、お出かけイベント情報のサイトがあり、その中の「海水浴場」で「ペット同伴可」で検索すると件数が分かります。
http://www.walkerplus.com/spot_list/sg0160/ss1007/
それぞれの海水浴場をチェックすれば、犬が水に入れるかどうかも記載されている場合があります。