バイク用ヘルメットの選び方!法律と規格の疑問に答える

バイク用のヘルメットはいろいろな種類があり、輸入品を含めるとメーカーの数は数え切れません。
数あるヘルメットの中から、どのヘルメットを選ぶべきか、初心者ではなかなか分かりません。

ヘルメットの形状や、安全性、法律などの解説を加えながら、バイク用ヘルメットの正しい選び方をはじめ、ヘルメットの疑問にお答えします。


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バイク用ヘルメットの選び方の基本

ヘルメット選び方の一覧表

詳細な説明は後にして、簡単な表を作ったので、まずご覧ください。

タイプ メリット デメリット 適応
フルフェイス型 安全性が最も高い 視野が狭い
メガネがかけにくい
高価である
高速走行が多い人におすすめ
システム型 チンガードを上げれば開放感がある  視野が狭い
スクーター下のスペースに入らないかも
高価である
 お好みでどうぞ
ジェット型  万能型で殆どの人に適応する
視野が広い
顔面の保護がやや弱い
良いものは高価である
 迷ったらこのタイプを選びましょう
誰にでも適応します
セミジェット型 軽量で手軽
価格が安い
125cc以下に限定される スクーターで近距離の人なら
半キャップ型 軽くて小さい
価格が安い
安全性が低い お勧めしません

バイクに使える乗車用ヘルメット

現場の警察官が認めるバイク乗車時に使えるヘルメットは次のようなものです。

20161012b

ヘルメットの形状による特性

ヘルメットをかぶらないでバイクを運転したり同乗すると警察に捕まり、違反点数を付加されます。

どんなヘルメットでも良いわけではなく、道路交通法では、原付きを含むバイクを運転する場合は、『乗車用ヘルメット』をかぶることを義務付けています。

でも『乗車用ヘルメット』なんてあまり聞き慣れませんがどんなヘルメットでしょうか。
また、逆に『乗車用ではないヘルメット』とはどんなものでしょうか。

いろいろなヘルメットがありますので、それぞれの特徴を簡潔に説明します。

フルフェイス型

頭部だけではなく、あごの周りまでカバーしているヘルメットでレースなどで見かけるタイプです。

20161008i

長所

頭部の保護性能に最も優れており、安全性が高いヘルメットです。
あごの周りまで囲っているので、頭部だけではなく顔面も保護してくれます。

保護性能に優れているので、モータースポーツではフルフェイス型のヘルメットが使われています。

高速道路はもちろんですが一般道におけるバイク使用においても、安全性を優先させるのであれば、フルフェイス型が良いでしょう。

短所

わたしの個人的な感覚では、視界が狭いのがイヤです。
特に後方視界が狭いのが最大の問題点です。
走行中に追い越し車線に車線変更をしようとするときに、顔を右下方向に向けて後方確認をするのですが、このときにヘルメットの縁(ふち)で視界を遮られて、バックミラーにも映らない追い越し車線後方の車両を見落とすことがあります。

だから、わたしは、ジェット型ヘルメットを愛用しています。

形状が大きいので、スクーターのシート下スペースに収まらないことがあります。

その他には

  • かぶるのが面倒
  • 髪型が乱れる
  • メガネをかけたままではかぶれない
  • シールドの隙間からメガネかけるのがやりにくい
  • メガネがくもる
  • 蒸れる
  • 重苦しい
  • 音声がこもるので会話がしにくい

などの不満を言う人もいますが、安全性と天秤にかけるような話ではないと思います。

システム型

システムタイプは、フリップ・アップとも呼ばれます。

フルフェイス型とジェット型の中間的なのがシステムタイプのヘルメットです。
日本ではあまり普及していないのですが、ヨーロッパではかなり多く見かけます。

装着したときの形はフルフェイス型と同じ形ですが、チンガード(顎カバー)の部分が上に跳ね上がる仕組みになっています。
いわば、ジェット型のシールドを強固にした形状とも考えられます。

20161011d画像出典:SHOEI

長所

フルフェイス型に次いで、保護性能が高いヘルメットです。

装着したときの形状はフルフェイス型と同じですが、あごカバーの部分は関節を介しているので、見かけほど強くはありませんから、形だけで過信してはいけません

フルフェイス型とジェット型とで比較したら、強度はむしろジェット型に近いくらいなのです。
(日本のトップメーカーであるアライはシステムタイプを作っていません)

フルフェイス型で問題だったメガネとの相性の部分がかなり改善されます。
メガネをかけてから、チンガードを下ろせば良いのです。

フルフェイス型でメガネをかけにくいと言う人は、システム型を選ぶのが良いかもしれません。

チンガードを上げればジェット型と同じくオープン・フェイスなので、音声がこもることなく普通に話せます。

短所

装着時に後方視界が悪い問題は、フルフェイス型と同じです。
視界の狭さの問題が解決されずに強度が低下しているので、選択する意味があまり感じられません。

しかも、チンカバーをきちんとロックしていないと危険です。

構造が複雑なので、重い場合があります。
(法律の規定があるので、2kgを超えることはありません)

形状が大きいので、スクーターのシート下スペースに収まらないことがあります。

ジェット型

最も実用的で、応用範囲が広いヘルメットです。
ヘルメットの選択で相談を受けたら、第一の選択肢としてジェット型をおすすめします。
もちろん、わたし自身もジェット型を愛用しています。

ジェット型は、正式な場では「オープンフェイス型」と言うことが多いようです。
ジェト戦闘機のパイロットが使っている形状なのでジェット型と名付けられたと言われています。

20161013a

白バイ隊員はジェット型を着用していますね。
これが実用性の証明であると見ることができます。

白バイ隊員は、違反者と会話をする機会が多いので、フルフェイスでは音声がこもってしまうのでしょう。

長所

視野が広い。
フルフェイス型の問題点だった、後方視界の狭さが解消されています。
追い越し時や走行車線に戻るときの、後方確認の視認性がフルフェイス型よりも格段に良いです。
この理由だけで、わたしはジェット型を使用しています。

あごと顔面の保護についてはフルフェイス型に敵いませんが、頭部の保護は厳しいスネル規格を満足する安全性を有しています。
ちゃんとしたジェット型は、耳だけではなく、ほっぺまで覆うような設計になっています。

シールドを含めてきちんと設計されたジェット型ヘルメットは、高速走行でも風の巻き込みなどが少なく安全に運転できます。

呼吸が楽で重苦しくない点もフルフェイス型より優れています。
メガネがくもりません。

短所

フルフェイス型と比べると、顔面保護性能で劣ります。

ほっぺまでカバーするので、着脱がキツイと感じることがあります。

セミジェット型

スリークオーターズとも呼ばれる簡易型ヘルメットで125cc以下のバイクに限定しています。

20161012c

フルフェイス型や本格的なジェット型では大きすぎるし価格も高いということで、躊躇するなら、125cc以下のバイクやスクーターであれば、セミジェット型を選ぶのも一つの方法です。
実はわたしも、125ccスクーターのシート下にはセミジェット型を積んでいます。

スリークオーターズとは、4分の3と言う意味で、ジェット型に対してその4分の3であると言うことのようです。

長所

耳までカバーしているので、簡易型ヘルメットとしては、比較的安全性が高いです。
シールドがセットされていることが多いので、小石や虫などから顔面を護ってくれます。

簡易型なので、軽量だしスクーターのシート下スペースに収まります。
小型軽量なので、取り扱いが容易です。

着脱が簡単です。
あごひももワンタッチパーツが使われている製品が多いです。
量産品なので、ホームセンターで安く購入できます。

短所

125cc以下限定ですから、高速道路では使えません。
フルフェイス型やジェト型と比べると保護性能では劣ります。

おばさんっぽくて、ファッション性に乏しいです。
はっきり言うと、ダサいデザインの製品が多いのが実情です。
(ファッション性は個人の感性ですから必ずしも短所とは限りませんが)

半キャップゴーグル付き

安全性能が低いので、わたしはおすすめしません。

20161008g

長所

ゴーグルが付いているので、走行中に目を保護し、小石や虫・ホコリによる障害から護ってくれます。

小型軽量なので、スクーターのシート下スペースに入ります。

着脱が容易です。
髪型を気にする人には、向いているかもしれませんね。

おしゃれなイメージがあります。
ファッショナブルな製品が多いので、女性が好んで使う傾向があります。

ローマの休日で、オードリーヘップバーンとグレゴリーペックがベスパに乗って、ローマの街をノーヘルで走りましたが、彼らにヘルメットを着用させるなら、このタイプかと思います。
(個人的な感想です)

短所

125cc以下限定なので、高速道路では使えません。
フルフェイス型やジェト型と比べると保護性能では劣ります。

頭部しか保護しないので、顔面や側面(耳など)への衝撃には役に立ちません。

半キャップ型

安全性能が低いので、わたしはおすすめしません。

20161008j

お椀型とかハーフキャップ型、あるいは半帽型とも呼ばれます。
派手なペイントをしてイキがっている若者もいますが、あまりかっこいいものではありません。

長所

お手軽で安い。
安い製品なら1500円程度で購入できます。
長所らしい点と言えば、これに尽きますね。
他にメリットらしい点はありません。

緊急用として1個所有しておくのには良いかもしれません。

短所

125cc以下限定なので、高速道路では使えません。
安全性では最も劣ります。

顔や耳がむき出しなので、顔面保護性能は期待できません。
強い衝撃であごひもも外れやすいです。
安全性を考慮したら、これを選ぶ人はいないでしょう。


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実際の選び方のポイント

最も安全性が高いのはフルフェイス型ですが、近所へ5分程度の買い物に出かける場合や、毎日の駅までの通勤通学にフルフェイスをかぶるのは、結構面倒なものです。

下の図のようなフローチャートで、ヘルメットの形状を選んではいかがでしょうか。

20161017b

フルフェイス型なら目の上に指一本

フルフェイス型なら視野を確保することが最大のポイントになります。
そのためには、ウインドウの上端と眉毛の間に、指一本が入るサイズを選びましょう。

20161017c

下の動画で詳しく説明しています。

ベンチレーション(換気口)がしっかりしているか

30分以内の乗車であればほとんど気になりませんが、1時間以上となるとヘルメット内部の蒸れが気になってきます。

フルフェイスはもちろんですが、ジェット型でも換気は重要です。
下の写真は、わたしのヘルメットですが、ベンチレーション(換気口)がたくさんあります。

arai 001b

このくらいベンチレーション設計がしっかりしていると、2時間くらい連続して走っても蒸れるようなことはありません。

結局は、値段と比例するのですが、安いヘルメットではベンチレーションが弱いので、使用感が悪くなります。

近距離しか走らないならセミジェット型でも

近距離しか走らないし、小型軽量で値段が安いものを選びたいというなら、セミジェット型(スリークオーターズ)にしましょう。

わたしは、半キャップ型ヘルメットはどんな場合でも推奨しません。
ただし、本当の緊急用として、1個備えておくのは良いかもしれません。

125cc以下限定ですから、高速走行には使えません。

セミジェット型で高速を走っても警察に捕まるわけではありませんが、自分の身を守るためですから、大型バイクに乗るならジェット型かフルフェイス型にしてください。

万一、高速走行で事故に遭った場合の衝撃は一般道の何倍にもなりますから、保護性能が低いヘルメットをかぶることは、自らの命を粗末にしていることにもつながります。


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バイク用ヘルメットに関する法律

バイク用ヘルメットは、法律用語では『乗車用ヘルメット』と言います。
『乗車用ヘルメット』に関係する法律は2つあります。

『道路交通法』『消費生活用品安全法』の2つです。

実は『道路交通法』はヘルメット使用者である運転者を規制する内容であり、
『消費生活用品安全法』は、ヘルメットの販売者を規制する内容で、2つの法律の間に関連性は全くありません。

本来なら、経済産業省が規定した『乗車用ヘルメット』を装着していないライダーを警察が取り締まるのが普通だと思いますが、そうはなっていません。

縦割り行政の現実が垣間見える状況なのです。

道路交通法で定める『乗車用ヘルメット』とは

日本のバイク用ヘルメット着用義務化の歴史

  • 1965年(昭和40年)
    高速道路でのヘルメット着用努力義務
  • 1972年(昭和47年)
    最高速度が40kmを超える道路でのヘルメット着用義務化
    ここまでは罰則なし、この後罰則あり
  • 1975年(昭和50年)
    政令指定道路区間で51cc以上の『ヘルメット着用義務化』
  • 1978年(昭和53年)
    すべての道路で51cc以上の『ヘルメット着用義務化』
  • 1986年(昭和61年)
    原付も含めたすべてのバイク、すべての道路で『ヘルメット着用義務化』

道路交通法は、使用者(運転者)に対する規則を定めたものです。

警察官は、道路交通法第71条の定めにしたがって、バイク用ヘルメット着用義務の取締を行っています。

道路交通法に関連する政令や規則を見ても、ヘルメットの規格に関してあまり詳しいことは書かれていません。

普通なら、法律ではこの程度のアバウトに書いて、政令や通達などで詳細を規定するのですが、ヘルメットに関してはこれだけなのです。
(法律条文は末尾に記載しておきますので、参考にしてください。)

簡単にまとめると次の7項目だけなのです。

  1. 視野が広い
  2. ひさしが風で垂れない
  3. 聴力を損ねない
  4. 衝撃吸収性と耐貫通性がある
  5. あごひもが付いている
  6. 重量が2kg以下
  7. 人体を傷つけない

現場の警察官は『乗車用ヘルメット』として、上記7項目を判断することになります。

明らかに使用目的が異なるスポーツ用ヘルメットは、取り締まりの対象になるでしょう。

スポーツ用ヘルメットでバイク乗ってもよいか

スポーツ用ヘルメットは、『乗車用ヘルメット』ではないので、バイク乗車時に使用してはいけません。

スポーツ用ヘルメットの例を下に示します。

これらの例以外にも、スキーのジャンプ競技やアイスホッケー、スケードボード、クライミングなどそれぞれの競技用のヘルメットがありますが、これらはすべてバイクには使えません。
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道路交通法に照らして考えてみましょう。

★スポーツ用ヘルメットの違反★
  • あごひもがない野球用ヘルメットは、第5項に違反しています。
  • 自転車用ヘルメット穴だらけなので、「耐貫通性」(第4項)がありません。
  • 乗馬用やアメフト用ヘルメットも、「衝撃吸収性」(第4項)に問題があるでしょう。

このような理由で、スポーツ用ヘルメットでバイクに乗ると警察に捕まります。
捕まると言っても、逮捕されたり罰金や反則金はなく、違反点数が1点付加されるだけです。
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作業用ヘルメットでバイクに乗ってもよいか

作業用ヘルメット(通称ドカヘル)も乗車用ヘルメットではありません。
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取り締まり現場の警察官の判断になりますが、殆どの場合は注意を受けるでしょう。

場合によっては、ノーヘルとして白切符を切られるかもしれません。

もしも、切符を着られたら素直に従ったほうが得策です。
白切符は、反則金はなく違反点数を1点付加されるだけですから。

免停直前の1点の人ならば、たかが1点とは言っていられないかもしれませんが、裁判沙汰になれば(ならないと思うけど)大変です。
違反点数がそれほどまでに切迫しているなら、ドカヘルでバイクに乗るような無茶はしないでください。

実は、ドカヘルが違反であるかどうかは微妙な問題であり、明確な結論はありません。

道路交通法第71条に照らしてみると、7項目のうち第4項以外は、明らかに要求性能を満たしています。

つまり、問題になるのは道路交通法第71条第4項の「衝撃吸収性」「耐貫通性」が、「乗車用ヘルメット」としての要求性能を満たしているかどうかの議論が争点になります。

仮に、あなたが裁判の場で要求性能を満たしていることを証明するとなれば、大掛かりな実験データや理論計算などを盛り込んで、大変な作業になることでしょう。

実際には「衝撃吸収性」と「耐貫通性」とは、次のような試験装置を使って行われます。
『衝撃吸収性試験』
 人頭模型にかぶせたヘルメットを、鉄塊の上に落とす。
『耐貫通性試験』
 先端が鋭利に尖った金属をヘルメットに突き刺さす
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20161014d
画像出典:日本ヘルメット工業会

作業用ヘルメットがバイク用として違反であるか適法なのか、判例がみつからないので分かりませんが、もし捕まったら警察に反論せずに、素直に白切符を受け取りましょう。
はっきり言って、ほとんど勝ち目はありません。

125cc以下限定のヘルメットで大型2輪に乗れるか

安いヘルメットの表示を見ると『125cc以下用』なんて表示があります。
20161017a
このヘルメットで大型バイクに乗ったら、警察に捕まるでしょうか。

答えとしては、道路交通法の判断としては問題ありません。

道路交通法ではバイクの排気量や走行スピードに関する規定はありませんから、「乗車用ヘルメット」7項目の基準を満たしていれば、ノーヘル違反にはなりません。

しかし、ヘルメットは何のためにかぶるのかを考えたときに、「警察から注意されるから」というのは大した理由ではないはずです。

本質的な目的は、万一の事故の際にあなたの頭を保護するための道具なのです。

アメリカっぽく見せたいのか、半キャップのヘルメットでハーレーに乗っている人がいますが、ファッションよりも自分の命を大事にしましょう。

125cc以下限定と言うのは、次の項目で解説する、『消費生活用品安全法』に基いて、経済産業省が定めた基準なのです。

最初に書いたように、『道路交通法』と『生活用品安全法』はリンクしていないので、取り締まりには反映されません。

消費生活用品安全法で定める『乗車用ヘルメット』とは

『道路交通法』とは違う立場でバイク用ヘルメットのルールを定めているのが『消費生活用品安全法』なのです。
(末尾に法律条文や規則を添付しているので参照してください)

この法律は、バイクの使用者ではなく、販売者を規制する法律なのです。
つまり、使うと危険な粗悪品を販売してはいけませんと言う決まりです。

違反をして販売すると1年以下の懲役または罰金100万円という、かなり重い刑罰が適用されます。

しかし、この法律の条文のどこを見ても、『ヘルメット』の文字はありません。
別途、政令で定めると書かれているのです。

政令では、バイク用ヘルメットの他には、圧力鍋、登山用ロープ、ライター、石油ストーブなど全部で10品目がPSC対象製品として定められています。

PSCマーク

PSCとは、Product Safety of Consumer Productsを、略したものです。
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バイク用ヘルメットに限らず、消費者の生命の危険に関する製品の安全基準を国が定めて、販売者を規制するマークです。

国が定めた最低限の安全基準に合格すれば『PSCマーク』を表示することが出来ます。

表示できるだけではなく『PSCマーク』を表示しないバイク用ヘルメットを販売すると処罰されるのです。

PSCマークの試験よりも厳しい安全規格(スネル規格など)が知られていますが、スネル規格に合格したヘルメットでも、PSCの検査を受けていないヘルメットは、日本では販売できません。

SNELL規格の他に、アメリカのDOT規格、ヨーロッパのECE規格、さらには日本のJIS規格など、どれもPSC規格よりも厳しい検査規格ですが、例えこれらの規格に合格しても、それだけでは日本で販売してはいけません。
必ずPSCマークを付けなければならないのです。

外国から直輸入した商品をNET通販業者などが、PSCマークがついていないヘルメットを販売する場合は、大きな文字でよく見えるように次のような表示を付けなければなりません。
「公道使用不可」とか
「四輪競技用」など。

しかし、消費者を規制するマークではありませんから、PSCマークがついていないヘルメットをかぶってバイクに乗っても、運転者にお咎めはありません。
では、PSCマークを全く無視して良いかというと、そうでもないんですね。
その理由が事項で説明する『SGマーク』です。

SGマーク

SGマークとは、Safe Goodsを省略した言葉です。
殆どの場合はヘルメットの後ろ側にPSCマークとセットになって表示されています。
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SGマークは、一般財団法人「製品安全協会」が認定した製品に表示することが出来ます。

★SGマークの意味★
この製品の安全性を「製品安全協会」が確認しました。
万一、製品の欠陥が原因で消費者に人的被害が発生した場合には、最高1億円まで補償します。

人的被害補償なので、物損事故は対象になりません。

SGマークの表示はメーカーの任意ですから、必ずしも表示しなければならないものではありません。

ネット情報の中には、「強制的な保険だ」などと表現しているケースが見受けられますが、任意なのです。
下の囲みは、製品安全協会のサイトのQ&Aからの抜粋です。

Q3 SGマークはすべての製品に表示されますか?
A3-1 SGマークは表示を希望される事業者様が自らの判断で表示する任意のマークです。
(法的な義務はありませんが、販売店、学校、自治体様などによっては、SGマーク付き製品を購入条件にしていることがあります。)
A3-2 SGマークは法的に表示が義務付けられたマークではありません
(消費生活用製品安全法の特定製品は、PSCマークの表示が義務付けられています。
A3-3 SGマークの表示は指定された表示対象製品のみとなっています。対象製品は随時見直しています。

しかしどういうわけか、上図のようにPSCマークとセットになっており、PSCマーク単独のヘルメットは見たことがありません。

実態としては、PSCマークとセットになっている制度と考えたほうが良さそうです。

あるサイトには、こんな表現がありましたが、間違いです。
ウソ⇒「ヘルメットを公道で使用するには、必ずSGマークが付いている必要があります」
NET情報は、思い込みやウソが多いので気をつけましょう。

いずれにしても、国内で販売されるバイク用ヘルメットはPSCマークがついているのですから、通常は悩む必要はありません。

どうしてもSGマークが付いていない外国直輸入のヘルメットを使いたければ、次のようなことを理解した上で、ご自由にどうぞ。

  • 通常は警察から違反を指摘されることはありません。
    ただし、現場の警察官の判断によっては、あるかもしれません。
  • 商品の欠陥による補償は受けられません。
  • SGマークがないからと自賠責保険が降りないと言うことはないでしょう
  • 任意保険の場合は、保険会社の解釈によって不利な判断をされる可能性があるかもしれません。

ヘルメットの安全性規格

安全性試験とは

まず、下の動画をごらんください。
屈強なロシア人男性が、青色のヘルメット(日本製YAMAHA)と、赤色のヘルメット(中国製)を、鉄の棒で叩き割る試験をしています。


衝撃的な動画ですが、こんな乱暴なやり方をしなくても、たとえ中国製でも日本で市販されているヘルメットはきちんとした計測装置を使ってヘルメットの安全性試験をしているのです。

各種試験の概念はアライのサイトのアニメが分かりやすいです。

衝撃吸収テスト
耐貫通性テスト

強度試験だけではなく、『あごひもの試験』や『事故の際の脱げ易さ』などの他の試験項目もあります。

ヘルメットの安全性規格の種類

日本で販売されているバイク用ヘルメットは、PSCマークの安全性試験の規格に通った製品です。
一口にヘルメットの規格と言いましたが、実は、沢山の種類があるのです。

  • PSCマーク(消費生活安全マーク)
  • SGマーク(安全製品マーク)
  • JIS1種(日本工業規格)
  • JIS2種(日本工業規格)
  • SNELL規格(スネル記念財団:民間)
  • DOT(米国運輸省規則)
  • ECE(国際連合欧州経済委員会規則)

他にも、レース用のMFJ(財団法人日本モーターサイクル協会)が定めた競技用規格のヘルメット規格なんてのもあります。
同じ試験項目でも、規格によって要求する強度レベルが違います。
下の画像は、試験の厳しさの概念図です。

規格は常時見直し改訂が行われているので多少数値が変わっている場合もありますが、概念的にはこのような感じだと理解してください。
20161011e
画像出典:マイナビニュース
上の図を見て分かるように、125cc以下(PSC、JIS1種)は、衝撃吸収能力が低いのです。

それだけ、軽くて安価に作れるのですが、ヘルメット本来の目的である『安全帽』としての役割は軽視されています。

それでも、ヘルメットとしての最低限の強度を保証する役割は保っているとして、日本の法律では、PSCマークがついていないヘルメットをバイク用(乗車用)として販売することを禁止しています。

これに違反して違法に販売すると、消費生活用製品安全法、第58条によって懲役刑に処せられることがあります。


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法律条文

ヘルメットに関する法律の条文を読んだことがある人は少ないでしょう。
参考のために、ヘルメットに関する部分を提示します。

道路交通法

(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)

第七十一条の四  大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。

第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。
(罰則 第三項から第六項までについては第百十九条の三第一項第六号)

道路交通法施行規則

(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)
(乗車用ヘルメット)
第九条の五?法第七十一条の四第一項 及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。

  • 一 左右、上下の視野が十分とれること。
  • 二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
  • 三 著しく聴力を損ねない構造であること。
  • 四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
  • 五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
  • 六 重量が二キログラム以下であること。
  • 七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。

消費生活用製品安全法

消費生活用製品安全法

(昭和四十八年六月六日法律第三十一号)(定義)

第二条 この法律において「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。

 この法律において「特定製品」とは、消費生活用製品のうち、構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品で政令で定めるものをいう。

(基準)
第三条 主務大臣は、特定製品について、主務省令で、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な技術上の基準を定めなければならない。

(販売の制限)
第四条 特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十三条の規定により表示が付されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない

(表示)
第十三条 届出事業者は、その届出に係る型式の特定製品の技術基準に対する適合性について、第十一条第二項(特別特定製品の場合にあつては、同項及び前条第一項)の規定による義務を履行したときは、当該特定製品に主務省令で定める方式による表示を付することができる

第五章 罰則

第五十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第四条第一項又は第五条の規定に違反した者

消費生活用製品安全法施行令

(昭和四十九年三月五日政令第四十八号)
(特定製品)
第一条 消費生活用製品安全法 (以下「法」という。)第二条第二項 の特定製品は、別表第一に掲げるとおりとする。

.
別表第一 (第一条、第六条関係)
一 家庭用の圧力なべ及び圧力がま
二 乗車用ヘルメット(自動二輪車又は原動機付自転車乗車用のものに限る。)
三 乳幼児用ベッド
四 登山用ロープ(身体確保用のものに限る。)
五 携帯用レーザー応用装置
六 浴槽用温水循環器
七 石油給湯機
八 石油ふろがま
九 石油ストーブ
十 ライター
出典:経済済産業省サイト

経済産業省 

制定  平成22・12・10商局第1号
平成22年12月24日
ーーー中略ーーー
最終改正 20160519商局第1号
平成28年5月31日

経済産業省大臣官房商務流通保安審議官 住田 孝之

消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について(ヘルメット関連の抜粋)

上記について、経済産業省関係特定製品の技術上の基準等に関する省令の一部を改正す る省令(平成28年経済産業省令第60号)の施行に伴い下記のとおり定め、平成28年5月31日から適用する。

1 特定製品

消費生活用製品安全法施行令(昭和49年政令第48号)別表第1に掲げる特定製品についての解釈は、次のとおりとする。

(2)乗車用ヘルメット

「乗車用ヘルメット」とは、自動二輪車又は原動機付自転車に乗車する者が衝突 等の事故の際に頭部への衝撃を緩和するために着用するヘルメットをいう。

なお、電気用、荷役用、鉱山用、工事用等の業務で使用することを目的としたヘ ルメットや玩具、スポーツ用(レース用を含む。)のへルメット等その外観、形状 等からみて明らかに「乗車用へルメット」と異なるものは規制の対象とならない。

また、ここでいう「乗車用」とは、国内外の規格で、消費生活用製品安全法(昭和48年法律第31号。以下「法」という。)関係法令及び本解釈で定める「乗車 用ヘルメット」に該当する規格に適合している旨の説明・表示をして販売されているヘルメットも含み、玩具等の「装飾用」と表示して販売することで法の対象外となるものではない。

ここで、「国内外の規格」とは、
・日本工業規格(JIS: Japanese Industrial Standards)
・米国運輸省規則(DOT: Department of Transportation)
・国際連合欧州経済委員会規則(ECE: Economical Commission for Europe)
・SNELL規格
等のうち、「乗車用ヘルメット」に係る規格をいう。

法の対象外とできる「レース用」としては、オートレースのような公営競技又は サーキットを走行するロードレースやモトクロスのようなクロスカントリーレー ス等の特定のレース場で走行することを目的として設計したヘルメットをいう。

た だし、そのヘルメットがレースだけではなく、上述の「乗車用」に該当するものは、 たとえレースで使用するものであっても、法の対象とする。

四輪車用のヘルメットについても、自動二輪車等用に公道で用いるために、一般消費者が購入できるもの については、同じく法の対象とする。

法規制の対象とならないヘルメットにおいて、一般消費者が「乗車用ヘルメット」 と誤認するおそれのあるものについては、それを利用する消費者が一見してわかる ようにするため、活字の大きさを
14ポイント(4.9ミリメートル)以上で
「公道使用不可」
「四輪競技用」
等の記載を行い、当該ヘルメットの外面の見やすい 箇所に容易に脱落又は消えない方法で表示すること。

2 検査の方式等

(1)検査の方式 検査の方式は、経済産業省関係特定製品の技術上の基準等に関する省令(昭和49年3月5日通商産業省令第18号。以下「技術基準省令」という。)第14条に よるものとするが、その解釈は別表のとおりとする。
なお、技術基準(技術基準省令別表第1の技術上の基準をいう。以下同じ。)を満たす解釈は、これに限定されるものではなく、十分な技術的根拠があれば技術基準に適合していると判断し得るものである。

(2)型式の区分の扱い 乗車用ヘルメットの型式の区分のサイズにおいて、内装クッションが固定式でないものの取扱いは内装クッションが最も大きな状態での寸法による区分を適用する。
ここで、内装クッションの内周長の測定が付属品の存在等内周の状態によって 一義的に測定しえない場合もあるので、原則として内装クッションの設計の大きさ を基準として測定することとし、内装クッションの設計の大きさが不明の場合にあ っては、帽体の同一型式ごとに、内装クッションの平均した大きさを基準とするこ と。

附 則(20160519商局第1号)

この運用及び解釈は、平成28年5月31日から適用する。
別表(各ページは、クリックすると別ウィンドウに大きく表示されます)
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まとめ

バイク用ヘルメットについていろいろと説明をしましたが、最も重要なことは、ヘルメットの性能を確認しないことです。

つまり、事故に遭遇して、ヘルメットのお世話にならないことなのです。

わたしは16歳で二輪免許証を取得してから、これまでの50年以上に渡って間を開けることなく二輪車と四輪車の運転を継続していますが、保険、シートベルト、エアバッグ、ヘルメットのお世話になったことが一度もありません。

格別、慎重な運転をしてきたわけではありませんが、無茶はしなかったように思います。

保険料、シートベルトとエアバッグの設備費用、ヘルメットの購入費用が無駄になったとも考えられますが、これらの費用はムダにすることがベストの結果なのです。

どうぞ、皆さまにおかれましても、ヘルメットの選択はともかく、事故に遭遇しないように、安全運転を継続してくださいますようお願いして、まとめと致します。


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