ミラーレス車は高齢者には危険!遠近老眼鏡をかけましょう

ミラーレス車とは

ミラーレス車、あるいはミラーレスカーをご存知でしょうか。

ドアミラーをなくして、その代わりにTVモニターで後方確認をする自動車です。

ミラーレス車

画像出典:日刊ゲンダイ2016.6.23紙面

なぜ高齢者に危険なのか

高齢者は老眼のために手元が見えない

高齢者は老眼であるため、遠くのものはよく見えますが、近くのものが見えづらいのです。

高齢者が新聞を見るときに、両手をいっぱいに伸ばして新聞を遠くに引き離す動作をしていることをイメージしてください。

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近くの文字が見えづらいので、遠くに離そうとするのです。

老眼とは

老眼の人は、水晶体を調節する筋肉の力が衰えているので、ピントを合わせられる距離範囲が小さくなります。

目の機能自体は問題ないので、水晶体を調節しないで見られる距離(通常は無限遠)は普通に見ることが出来ますが、近くのものに焦点が合わなくなるのです。

要するに手元や近くのものが見えづらくなるのです。

個人差はありますが40歳頃から老眼が始まり、年齢とともに焦点が合わない距離が長くなって、やがて80歳を超えるくらいになると、水晶体の調節がまったくできずにまるでピンホール・カメラや固定焦点カメラのように、数メートル以上の無限遠しか焦点が合わなくなります。


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鏡の中は遠距離と同じ

老眼で鏡を見るときに、鏡の中に映っているものは鏡よりも距離が離れたものとして認識しているのです。

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例えば、上のおじいちゃんは、目の前20cmにある鏡を通して、自分の5メートル後ろにいる孫の女の子が泣いている姿を見ることが出来ます。

実際は、自分の後ろにいるのですが、眼は鏡を通して5メートル前方に孫娘いると判断して焦点を合わせることが出来るのです。

だから、目の前の鏡なのですが、女の子までの距離が5メートルも離れているので老眼鏡を使う必要がなくはっきりと見ることが出来ます。
鏡に映っているものは、目と鏡との距離には関係なく、鏡を通して遠くにあるモノとして認識されるのです。

しかし、鏡の表面に貼ってあるメーカーのシールは、ピントが合わないので読むことができません。

運転中にメーター類がぼやける

ルームミラーやドアミラーに映っている後方の景色は、老眼鏡をかけなくても無限遠方の映像として焦点が合うのです。

だけど、運転席のメーター類が見にくくピントが合わなくなりボケることがあります。
大きなアナログの速度計などは見やすいのですが、デジタルの時計などはとても見にくいです。

年齢や個人差はあると思いますが、60歳を過ぎた辺りから、カーナビの小さな文字などはほとんど読めなくなってしまいます。

ミラーレス車で何が危険なのか

ミラーレス車のケースを考えてみましょう。

後方確認は、ドアミラーの中を覗き込んで遠方を見る従来の方法はできません。
何しろドアミラーがないのですから。

ドアミラーの代わりに、運転席付近のTVモニターで後方を確認するのです。

これって、眼にとってはカーナビの画面を見るのと同じことなのです。

老眼では、カーナビの細かい文字は読めません。
同様に、TVモニターに映し出された後方の景色は、ぼやけてしか見えないのです。

カーナビが読めないくらいなら安全性には影響ありませんが、後方の視界がぼやけるのは大きな問題です。

老眼対策はどうしたら良いか

遠近両用眼鏡を使う

遠近両用眼鏡とは、レンズの上半分が遠方を見るため、下半分が手元を見るために、焦点距離が2つあるレンズを使用した眼鏡です。

近視がない人であれば、上半分は素通しレンズになります。

境目のないレンズと、下の写真のようにくっきりと境目を付けて近距離用の部分を設置したレンズがあります。

どちらが良いのかは好みの問題になりますが、わたしは境目なしに慣れています。

遠近両用は、慣れないと足元を見たときにクラクラするとか、目が疲れるとか言われますが、わたしは日常的にかけているので、まったく問題ありません。

自動車の運転においても、普通に運転して、メーターの時計もカーナビの文字を読むことも出来ます。

ミラーレス車はまだ運転したことがありませんが、おそらくわたしは問題なく対応できるでしょう。

問題なのは、老眼鏡無しでミラーレス車を運転しようとする高齢者です。

通常の自動車運転で、インパネが見づらいと感じたら、ミラーレス車の運転は控えたほうが良いでしょう。


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ミラーレス車解禁の背景

国土交通層が規制緩和

これまでは、「道路運送車両法の保安基準」によって、ミラーの面積や見える範囲など細かい条件が決められていて、カメラとモニターで代替することは禁止されていました。

2016年6月に、国土交通省が道路運送車両法の保安基準を改正して、きちんと視野を確保できることを条件にして、ドアミラーの代わりにカメラやTVモニターの使用を認めたことにより、ミラーレス車が実現できることになりました。

国際基準が先

その背景には、国連の機関である『自動車基準調和世界フォーラム(WP29)』の決定があります。

電子機器の技術が進んでいるのでカメラなどで周辺の状況を確認することが可能であり、サイドミラーの必要性が薄れたと判断して、2015年11月に「ミラーレス車」の解禁を決めたのです。

この決定を受けて、国際協調の観点から日本でも解禁したのです。

自動車基準調和世界フォーラム(WP29)

国連の組織のひとつで、自動車の安全・環境基準などを定める役割を担っています。
日本は1998年に正式加盟しました。

自動車の安全基準や環境基準は、各国の交通事情の違いがあるため各国が独自に定めていました。

しかし、国際的な自動車の流通(輸出入)量の増加に伴って、各国の独自基準の弊害が現れてきました。

例えば、部品の共通化が出来ないとか、国ごとの許認可が手続きが複雑になります。

自動車貿易を円滑にできるようにするために、国際的な基準を統一する必要性が高まって来ました。

 ミラーレス車のメリットとは

自動車業界が最も注目しているのは、スタイリングです。
流れるようなデザインの車体に無骨なミラーは邪魔になるというわけですね。

ミラーがデザインの邪魔になるとうことでは、伝説的な話があります。
1970年台のいすゞの117クーペはイタリアのカーデザイナーであるジウジアロがデザインしました。

ジウジアロは、ドアミラーを前提として流れるようなデザインを担当しました。

ところが、出来た車を見るとボンネットに角が生えたようなフェンダーミラーが付けられていたのです。

いすゞ1117クーペ

画像出典:Wikipedia

ジウジアロは怒りました。

「わたしのデザインに何てことをするんだ。すぐに角を外しなさい!」
って怒鳴ったかどうかは分かりませんが、大いに不満を表明したそうです。

当時の車両保安基準では、ドアミラーは認められていなかったので、いすゞ側としては、怒られてもどうしようもなかったのです。

このように、車体のラインを乱す邪魔者として、ミラーはカーデザイナーから嫌われているようです。

そのミラーをなくしても良いと言うのですから、カーデザイナーにとっては、自由なデザインの幅が広がるので、好ましいことです。

複数のカメラの画像を組み合わせることによって、視界の隙間つまり死角をなくすことが出来ます。
どのように実現するかは、これからの技術開発に委ねられています。

また、出っ張っているミラーがなくなると空気抵抗が減少して、燃費が良くなるのは理論上はそうでしょうが、実質的にそれほど大きな影響があるとは思えません。

メーカー側の不安も

デザイン的には面白い要素を持ったミラーレス車ですが、技術的には難しい課題も残っています。

  1. TVモニターの視認性
    太陽光が強いときには液晶モニターが見にくくなります。
  2. 断線や機器の故障
    電子機器は耐用年数があり、必ず故障します。
    その時の対応が難しいし、一般にミラーを交換するよりも高価です。
  3. 画像合成の速度
    1台のカメラとTVモニターをアナログ的に直結するわけではありません。
    複数のカメラのデータをデジタル化して画像合成のようなことをするはずです。
    リアルタイムで走っている速度で画像処理をしなければなりません。
    しかも、トラブルが許されないとなると、メーカー側への負荷が非常に大きいです。
  4. 故障による事故の責任
    万一、ミラー画像システムの故障が原因で事故が発生した場合の事故責任はどこに行くのか、不明瞭です。
    自動車会社、電子機器メーカー、街の整備屋、操作ミスの運転手(老眼)???

まとめ

設備費用が結構高くなりそうなので、当面は高級車専用になりそうです。

一般庶民が乗るコンパクトカーまで技術レベルが降りてくるまでには、法整備ももう少し進むことでしょう。

いずれにしても、老眼の人がミラーレス車を運転するなら、遠近両用老眼鏡の使用をおすすめしておきます。

可能であれば、ミラー付きにすることです。


なんでも調べる『いろはに情報館』です。 熟年の知識と含蓄で古いものほど得意です。 ネット上にあふれる種々雑多な情報をプロのテクニックで検索して分かりやすく整理してお届けします。


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