すべからくの誤用は日本人の半数以上だった

すべからくの正しい意味はどれでしょうか

最初に問題に答えてください

日本人はすべからく憲法を遵守すべし。

上の文章はどういう意味でしょうか? 3択問題です。

  1. 日本人は、一人ひとりの全国民が憲法を守るべきだ。
  2. 日本人は、当然のこととして憲法を守るべきだ。
  3. 日本人は、出来る範囲で憲法を守るべきだ。

さて、正解は何番でしょうか?

正解は

2. 日本人は、当然のこととして憲法を守るべきだ。
です。

「すべからく」を、「すべての」とか「全員が」などと誤った理解をしている人が日本人の4割近くいるそうです。
よく分かっていない人を加えると、日本人の約6割が正しく理解していません。

 すべからくの意味は

『すべからく』は、漢字で『須く』と書き、『必須』の『須』なのです。
言い換えるなら『必須事項として』としても良いでしょう。
すると、
日本人は、必須事項として憲法を守るべきだ。
となり、意味も通じますね。

すべての人がとか、全員がという意味で使うのは、誤用なのです。

文化庁の調査

文化庁が、平成22年度の「国語に関する世論調査」で、
学生はすべからく勉学に励むべきだ。
という例文を挙げて,「すべからく」の意味を尋ねました。

上の憲法の例文と同じですね。

誤用者数は約4割

結果は、

(ア)「全て,皆」という意味・・・・・・・・・38.5%
(イ)「当然,是非とも」という意味・・・41.2%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.2%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・3.1%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.9%

正しく答えられた人は、41.2%しかいなかったのです。
わからないならともかく、「全て、皆」だと間違った認識している人が、ほぼ同数いるのですね。

これでは、日本語が乱れるわけです。

理解度の年代別グラフ

年代別のグラフも公開されています。

30代、40代の人たちが比較的よく理解していますが、それでもおよそ半分ですね。

60歳以上の高齢者の理解度が低いですね。
それで、全体の平均値を大きく引き下げています。

正解者のグラフを40%の横線で対象位置にひっくり返すと、ほぼ「全て、皆」の誤認識者のグラフと一致します。

有名な誤用発言

国会でも間違えた

小渕恵三総理大臣

私は、一つの雑誌、一つの週刊誌、いろいろなところで取り上げられたことをこの貴重な時間の中ですべからく説明することはいささか気が引けるわけでございますけれども、
(小渕恵三、 第147回国会 国家基本政策委員会合同審査会 第1号)〔2000年〕

馬淵澄夫国土交通大臣

なお、今後、いわゆる高度経済成長期につくられたこうしたインフラに関しましては、すべからく更新時期が到来してまいります。
(馬淵澄夫、 第174回国会 国土交通委員会 第9号)〔2010年〕

漫画でも微妙なセリフが

漫画『はじめの一歩』で鴨川会長が、世界タイトルマッチに臨む鷹村に向けた言葉が有名です。

「成功した者は皆すべからく努力しておる!!」

実は、これは二通りの解釈ができるので、あながち間違いとは言えないのです。

素直に読むと、
「成功した者は皆例外なく全員が努力しておる!!」
という意味になり、誤用だと騒がれます。

しかし、こんな解釈もできます。
「成功した者は皆必須事項として努力しておる!!」

あるいは、
「成功した者は皆当然のこととして努力しておる!!」

作者が、どちらの意味で描いたセリフなのかは分かりませんが、おそらく半分以上の読者は、例外なく全員がと解釈したのではないかと思います。

まとめ

何気なく使っている言葉ですが、「すべからく」の意味については国民の半分以上が間違えているのです。

言葉は生き物ですから、時代とともに意味合いが変化することも珍しくありません。

最近の例では、否定語を伴うはずの『ぜんぜん』が肯定文で使われたり、『ヤバイ』が危険や不具合のような否定的な意味ではなく、素晴らしい、かっこいいいのような肯定的な意味に使われているのも、最近の例です。

『すべからく』も、将来は、「すべての」の意味が標準的になる時代が来るのかもしれませんが、現状では間違いです。


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