とら系ラーメンの真髄は、とら食堂「心得帖」にあった。

なんでも調べる『いろはに情報館』です。 熟年の知識と含蓄で古いものほど得意です。 ネット上にあふれる種々雑多な情報をプロのテクニックで検索して分かりやすく整理してお届けします。

うまいラーメンで『とら系』というジャンルがあります。
化学調味料を一切使わず、丁寧にだしを取り、麺は完全手打ちにこだわった、手間ひまかけた手作りのラーメンで、つるつるのワンタンメンが人気です。

とら系ラーメン創業

福島県の白河市で店を開いた「竹井寅次」さんが創りだしたラーメンで、多くの弟子が巣立って店舗を構えています。フランチャイズのような形式は採っておらず、各人がそれぞれに個人で店を出しています。
ただし、とら食堂で修行をした弟子の店のれんの端を見ると、たいがい「とら食堂より」と書かれています。

その本家本元が、この店です。

とら食堂
白河市の中心街から、東の方に県道を4kmほど走ったところで、周囲はぐるっと田んぼです。
r20141120a

航空写真で見るとこんな感じで、本当に周囲には数件の家しかなくて、本当に田んぼの真中です。
r20141120b

県道11号線を走って、小さな看板を目当てに田んぼ道に入ると、この店があります。

どうしてこんなところに作ったのかと思うほど、辺ぴな田んぼの真ん中です。
絶対に、通りがかりにたまたま立ち寄るような店ではありません。
「とら食堂」に行くぞ。
と、決心した人しかたどり着けない店です。

でも、平日でも待ち人がいるほどの人気で、全国から(ホントか?)食通が集まって来ます。

とら食堂が店頭に置いている「心得帖」という冊子がありますのでその文章を紹介しましょう。
とら食堂の歴史が詳しく書かれています。

目次に戻る

とら食堂「心得帖」より

奥州の玄関口として栄えた城下町・福島県白河市。
那須連邦を望む豊かな自然の中、清らかな水と空気に恵まれた高原都市です。

その白河に、ラーメンを出す店が現れたのは、戦後間もなくのころ。
そんな折、とら食堂の先代、竹井寅次は、白河市本町北裏にあった「◯い食堂」でワンタン職人として働き始め、そのお店で麺づくりを覚えたと言われています。
寅次は、若い頃から酒と博打が大好きで、それまで何をしても長続きしない男でしたが、ラーメンづくりだけは一生懸命。
「とらさんのラーメンはおいしい」と評判になり、いつしか「ラーメンの天才」と呼ばれるようになりました。

そして昭和44年、白河市郭内に初めて自分の店「中華そば とら」を開店しました。
寅次は「とらさん、とらさん」と、多くの人から親しまれた人柄で、ラーメン作りを教えて欲しいと頼まれると、誰にでも教えました。

こうして、とらさんから教わった弟子たちが店をかまえ、白河に多くのラーメン店が出現。
現在では、人口約6万5000人の街に、約100店のラーメン店が軒を連ねています。

とら食堂の先代・竹井寅次は、昭和58年3月、56歳と言う若さで他界。
「うまいラーメンを」という情熱を息子に託し、この世を去りました。

二代目店主、竹井和之が父・寅次のもとに弟子入りしたのは19歳のころ。
父とふたり、店を切り盛りしていました。
「親子でも親方と弟子」、試練の日々が続きました。
しかし、和之28歳の年、父・寅次の突然の死。
少年の頃、裕福とは言えない家庭に育った和之にとって、父の作るラーメンはごちそうでした。
おいしいラーメンを作る父の姿は、それだけで自慢に思える父親でした。

父亡き後、和之はその思いを胸に、日々お店に立ちました。
天才と呼ばれた父の味を守るために。
とら食堂に弟子入りしてから33年。

和之は、一度たりとも厨房から離れることはなく、毎日ラーメンを作り続けています。
今では多くのお客様がとら食堂の味を楽しみにやってくる店となり、多くの弟子を持つまでになりました。
そう、「とらさん、とらさん」と親しまれた、父・寅次のように。

目次に戻る

手打ち中華 もめん

二代目の竹井和之さんに弟子入りして修行を積んだ人が、埼玉県富士見市に手打ち中華「もめん」を出店しています。
もめんの場所情報はこちら

この店のウリは、やはりワンタンメンですね。
IMG_0764
この店主が、とら食堂のラーメンとの出会いから、こだわりの食材、麺作りまで店内で公開しているので、ご紹介しましょう。
「とら食堂」のラーメン作りの真髄が見えてくる力作ですよ。

手打ち麺。ツルツルしこしこの感触を味わっていただきたくて毎日5時間かけて手打ちしています。

目次に戻る

とら食堂のラーメンとの出会い

休日は1時間、2時間待ちはざら。
長蛇の行列ができる白河の「とら食堂」の竹井和之師匠の下で私は修行をさせていただきました。

目次に戻る

なぜ、私は「とら食堂」で修行したいと思ったのか。

そのお話をまずさせていただきたいと思います。

私はサラリーマンの頃から、無類のラーメン好きでいろんなラーメンを食べ歩いていたのですが、あるとき、同僚たちから「福島にうまいラーメン屋がある」と連れて行ってもらったのが「とら食堂」でした。
正直に言わせていただくと、「確かにうまいけど、みんなが言うほどでもないのでは」と言うのが私の感想でした。

そして、帰ろうとしてカギを車に差し込んだ時です。
口の中に残った醤油の何とも言えない深みに気づいたのです。
「これはうまい」
その時に初めてわかりました。

目次に戻る

そんなラーメンを私は初めて食べました。

食べてひと口目に「うまい」と感じるラーメンは多々あります。
でも、そういうラーメンは食べ終わる頃には「もういっぱいだな」と思います。
しかし「とら食堂」のラーメンは違ったのです。
味にパンチは無いのですが食べ終わった後にこそ、おいしさがじんわり伝わってくるのです。
胃ももたれない。
実は化学調味料を使うと、一口目のパンチの効いたうまみを出すのはとても簡単なのです。
「とら食堂」は純正の手打麺にこだわり、化学調味料も一切使用しない本格中華そばです。
そんな体に優しい、食べるほどに深みが伝わってくるラーメン作りこそ、私の一生の仕事にしたいと思い竹井和之師匠のもとに弟子入りさせていただきました。

目次に戻る

手打ちちぢれ麺

関東でも手打ちラーメンが食べられる店は数えるほどしかありません。
実はこの手打麺を作るのに毎日5時間かかります。
朝6時にはお店に入り開店の11時ギリギリまで麺を作っています。

目次に戻る

麺作りの工程

竹井和之師匠から教えていただいたことに、私なりに日々、小さな発見を積み重ねて1杯のラーメンを思いを込めて作らせていただいております。
実はラーメンや蕎麦はすすって食べますから、普通の食事よりも、空気を多めに吸いながら食べるかたちになります。
つまり、同じように作っても食べる環境の空気によっても微妙に味が変わるのです。
そのことに気づき、最近はこの土地の空気に合うよう以前より少し濃いめのスープの味にしております。

目次に戻る

最初の水加減が大きなポイントです。

その日の湿度によって全く違うので、これはまさに長年の経験が必要になります。
そして丁寧にねっていきます。
手打ちにこだわるのは機械で作る面と比べてちょうどいいバランスで水分を含ませることができるのでツルツルであり、ピロピロとした絶妙な感触が出せるのです。
腰のあるなめらかな舌触りの多加水麺です。

目次に戻る

麺打ちは力技ですが

強ければいいと言うわけでもありません。
機械の強さでやってしまうと小麦の旨味が壊れてしまうように感じます。
あと一番やっていけないのは麺を乾かせてしまうこと。
ですから麺を打っている時は夏でもクーラーはつけません。
夏場は麺を打っている間にTシャツを4回変えます。

目次に戻る

最後に出て空気を入れ込むように麺にちぢれを入れます。

これで麺がスープにうまく絡むのです。
これにて5時間にわたって麺づくりは終了!ではないんですね。
実はこのあと5℃に設定した冷蔵庫で3日間かけて麺を熟成させています。
麺の水分が全体に均等に回り、「コシ」と「つるつる感」がある麺になります。
手打ち中華もめん

目次に戻る

岩手の鳥を使った鶏がらベースの澄んだスープはまず蒸します。

実は私どもは、スープを作るのに最初に水を入れず、まず蒸すのです。蒸すことで旨味が逃げないんです。
これはなかなか他ではやっているとこはないですよ。

目次に戻る

当店では鶏がらを2種類使っています。

メインは岩手の鳥になります。
においもなくてあっさりしているのに、しっかりが味が深いのです。
そこにコクを加えるために豚のげん骨を加えています。

目次に戻る

済んだ深みのあるスープの決め手は火加減です。

火加減が勝負です。
トンコツやこってり系はグツグツ煮込みますが沸騰させてしまうとスープが濁ってしまいます。
当店はあくまでも鳥からの済んだ味を生かすために沸騰させず寸止めのギリギリのところで鶏がらのうまみをだしていきます。
実を言いますと、うちもスープに関しては野菜を入れたり色んなことを試していた時期もあるのですが、やはりシンプルに鶏がらを生かしきるというのがいいという今の結論です。

目次に戻る

無化調健康スープ

スープは素材のうまみを最大限に生かすために化学調味料は一切使っていません。
その分、最初のパンチは弱いですが、体に大変優しい健康スープです。
さらに、食べ終わった後の口の中にただよう醤油の旨味、これこそ、もめんの味です。

目次に戻る

黒びかり。熟成秘伝のタレ

昭和26年創業の「とら食堂」。
50年近く継ぎ足し継ぎ足し受け継がれる「とら食堂」の秘伝の熟成醤油タレを当店も譲り受けています。
そこに、日々、チャーシューを煮込んだ煮汁を加えていきます。

目次に戻る

炭火で焼いてから醤油で煮るスモーキーなチャーシュー。

豚の肩ロースを使っています。
当店では七輪(しちりん)を使い、つるして炭火で約1時間蒸し焼きにします。
その後に1時間煮込みます。
料理って結局は、手間なんです。
ひと手間かけることで肉本来のうまみが出てぐっと美味しくなります。
噛むほどに旨味がふわっと出てくるチャーシューに仕上がっています。

目次に戻る

こだわり煮タマゴ

煮タマゴは6分45秒でちょうど中がしっとりとした一番おいしい半熟になります。
それをタレに漬け込んでできあがり。
写真の人参のタイマーは時間を計るため。
調べたところ17分漬け込んだものが1番おいしかったので、当店では17分と決めています。

目次に戻る

いま一番人気はワンタン

最近、俄然人気が出てきたのはワンタン。
具が口の中で広がります。
隠し味はホタテ。ホタテを刻んで入れてあります。
さらに隠し味の隠し味にチャーシューも刻んで入れてあります。
小さなお子様からも大変喜ばれています。

手打ち中華もめん

もめんの場所情報はこちら

※筆者は「とら食堂」とも「もめん」とも、なんの利害関係もありませんし、知り合いでもありません。
 単なる一ファンとして、記事を書きました。


関連コンテンツと広告

目次に戻る