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カラス対策はごみ箱設置に限る
自治会や町内会で生活ゴミを集めて出すところを、ゴミ置き場とかゴミステーションなどとも言います。
ゴミ置き場のカラスによる被害が全国に広がっており各地でその対策に困っています。
一般的には、黄色のカラスネットを被せているところが多いようですね。
こんな感じで。
しかし、実際には、黄色いネットだけでは、カラスよけの効果はほとんどありません。
宇都宮大学の杉田教授らが開発した「黄色い袋」では、カラスよけの効果が確認できたのですが、その本質は紫外線を遮断する顔料であって、黄色がポイントではなかったのです。
詳細な情報は、
カラスは黄色が嫌い?黄色いゴミ袋のヒミツとは。
を参照してください。
ですから、黄色いカラスよけネットは、全国の自治体を巻き込んだ壮大な都市伝説と言って良いでしょう。
黄色いネット以外には、テント地の覆いを被せる方法があります。
しかし
- 重い
- 臭いがこもる
- 折りたたみが面倒
などの苦情が多いのが現状です。
その他にも
- 死んだカラスの模型をぶら下げる
- 目玉模様をぶら下げる
- キラキラ光るCDをぶら下げる
- 磁石をぶら下げる
- カラス忌避剤のスプレーをまく
などの方法が提案されています。
しかし、いずれも、一時的な効果はあっても、長続きはしません。
有効なカラス対策は、大型ごみ箱設置に限られるのです!
根本的な対策は、カラスが触れないように物理的に遮るしかありません。
わたしたちの自治会でも、カラスの被害が問題になり、下の写真のようなしっかりしたボックスを購入することになりました。
この写真は、他の自治会の設置例であり、当自治会ではありません。
10世帯以上が集まって資金を出し合えば、一戸当たりの負担は、5000円ほどで設置出来ます。
カラスによるゴミ被害の根本的な対策は、ゴミ箱設置しかありません。
今回、わたし自身が、自治会長としてゴミ箱の機種選定に当リました。
その時の経験を簡潔にまとめましたので、同じ立場の方は参考にしてみてください。
当自治会は、45世帯なので5000円ずつ集めるとして、当初の予算規模は、22万円で検討を始めました。
結果的には、実際の費用は
144,000円でした。
一戸当たりの負担金は、3,200円で出来ちゃいました!
この程度の費用で、今後20年間以上もカラスの被害を避けられるし、犬や猫の被害も食い止めます。
その上、ゴミもきれいに片付くのですから、一石三鳥でぜひオススメしたい方法です。
以下の説明は、
自分なりに調査をして判断した結果を取りまとめた内容ですが、学術的な背景や、業界の常識などは関係なく、わたし個人の思い込みが強いまとめになっています。
その点をご承知の上でご参照ください。
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第一のポイントは必要な容量を決定すること。
まず、ゴミ箱の大きさを決めなければなりません。
ゴミ箱の大きさは、縦横高さの寸法よりも、収容できるゴミの容量によって決まります。
目次に戻る基準は一世帯当たり30リットル
ゴミの集積容量は、生活環境、家族構成、ゴミ収集の頻度等によって大きく変わってきますが、
ここでは
- 東京近郊の住宅街
- 夫婦と子供一人
- 生ごみ収集は、週2回
を基準とします。
当自治会で45世帯のゴミの容積を調査したところ、一世帯当たりの容積は30L程度であることが分かりました。
この結果より、標準的には〔世帯数×30L〕で、ゴミの容積を推定します。
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生活環境との関係
生活環境によってゴミの性質や容量が変わってきます。
例えば、自家生産の野菜を多用している地域であれば野菜くずが増えるし、コンビニ弁当主体のような生活環境であれば、プラスチックゴミが増えることでしょう。
標準ゴミ量が30Lの目安は、都市部に隣接する住宅街で、主にスーパーマーケットを利用している家庭のイメージです。
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世帯構成人数との関係
世帯の構成人数が多い地域であれば、ゴミ量がもっと増えるだろうし
単身者が多い環境であればもっと少なく見積もっても構わないでしょう。
30Lの根拠になっているのは、両親と子供一人の世帯です。
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回収頻度との関係
カラスの被害が大きいのは主に「生ごみ」です。
一世帯30Lは、生ごみの回収頻度が週2回の地域を基準にしています。
もし、回収頻度が少なくて週1回の地区であれば、この2倍の容量が必要になります。
なお、生ごみは、地域によっては
- 可燃ごみ
- 燃えるゴミ
- 燃やすゴミ
- 燃やして良いゴミ
などと表現されることがあります。
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第二のポイントは、材質を決めること
大型のゴミ箱は、各種の材質の製品が商品化されています。
代表的な材質を示せば、次の6品種があります。
- スチール(鉄)+亜鉛メッキ
- スチール(鉄)+樹脂塗装
- ステンレス
- アルミ
- FRP
(樹脂強化プラスチック) - 熱可塑性樹脂(PEなど)
それぞれの長短所を示します。
材質 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
鉄+亜鉛メッキ | 安い、品種が多い、補修し易い | 傷から錆びる(補修可) |
鉄+樹脂塗装 | 外観がきれい | 樹脂の耐候性が低い |
ステンレス | 外観がきれい | 高価、安いステンは錆びる |
アルミ | 外観がきれい、軽い | 高価、弱い、品種が少ない |
FRP | 密閉性が高い | 子供が入ったら危険、強風で飛ぶ |
PE | 外観がきれい、軽い | 高価、耐候性が弱い |
自治会で購入したとなれば、使用期限が10年は当たり前で、20年以上も使うことが前提になります。
ならば、耐候性に懸念がある樹脂塗装は避けるべきです。
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亜鉛メッキ製品の選定理由
当自治会では、「鉄+亜鉛メッキ」製品を選定しました。
補修が簡単
亜鉛メッキ製品は、表面に傷がつかなければ錆びません。
しかし、一旦傷がついて表面の皮膜が壊されると、内部の鉄にまで水が染みて、錆を発生させます。
傷の部分を研磨してサビを落とし、補修材を塗布すれば、ほぼ元通りの耐錆性能が発揮されます。
補修材は「常温めっき液」などの通称で販売されています。
汎用品としての品種が多い
廉価で頑丈で使いやすいので、サイズや型式が多様で、たくさんの品種が製品化されているので、需要にピッタリ合う製品を探しやすいです。
外観的な指定があるような特別の事情がなければ、鉄に亜鉛メッキ製品が選択されるでしょう。
第三のポイントは仕様を決める。
目次に戻る板囲いとメッシュ囲いの選択
板囲いとはこんな風に、周囲を金属やプラスチックで囲ったものです。
一方メッシュタイプとは、下の事例のように周囲を網で囲んだものです。
板囲いは、外観がきれいですが、
- 臭いがこもる
- サビや汚れが目立つ
- 中身が見えない
- 子供が入り込んだら危険
- 掃除がしにくい
の問題点があります。
ですから、次のように特に外観を重視すべき場所では板囲いの選択もあるでしょう。
- 厨房の中
- 商店街
- 子供公園の隣
- 観光地
逆に、美化に対してさほどうるさくない住宅街のゴミステーションとしては、メッシュタイプを選ぶべきです。
メリットは次の通りです。
- 風通しが良い
- 臭いが抜ける
- 中身が見える
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前面が開く方が良い
中身のゴミを取り出すときや、そうじをするときに、前面の扉が開くタイプの方がメンテナンスの面では有利です。
下の図は、天板だけが開くタイプで、前面が開きません。
だから、中のゴミを取り出すときには、前かがみになって引っ張り上げるような格好になります。
これに対して、前面の扉が開くタイプは、例えばこんな構造です。
上下の4枚の扉が全部開くので、ゴミの取り出しや掃除が楽です。
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上開と横開き
天面の扉の開く方向には、上に持ち上げて開く製品と横に開く(観音開き)の製品があります。
ゴミを投入する時の使い勝手と、誤って指を挟む危険性が小さいのは、観音開きです。
(個人的な感覚であり、データはありません)
大きい物1台よりも小さい物を2台の選択
例えば、計算上の必要容量が1,000リットルだとしたら、1,000リットルの大型の製品を1台買うよりも、
500リットルの製品を2台購入する方が小回りが利いて良いと思います。
使い分けの例としては、可燃物と不燃物を分けるとか、設置場所が狭いときには場所に合わせて移動できるし、地区を2グループに分けて集積所を2箇所に分離するような応用もできます。
なお、2台に分割しても、費用的には殆ど変わりません。
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場所が狭い場合は折りたたみ式を
ゴミ出し場所が確保されている場合は恒久的な大型ゴミ箱で良いのですが、場所が狭い場合には、折りたたみ式と言う選択肢があります。
大型ごみ箱なら瀧商店!送料無料初の折りたたみ式 環境ステーションリッチェル ゴミステーショ… |
この折りたたみ式は値は張るけど、女性でもワンタッチで開閉できるのでとても便利です!
もっと安いものであれば、折りたたみ式のネットが各種販売されています。
海外生産品もあるので気になる人は確認を
廉価な製品を探していると、中国製などの海外生産品もあります。
日本の会社がきちんと管理しているので、まちがいはないと思いますが、国産品にこだわるならば、事前に確認しておきましょう。
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第四のポイントは値段の調査
わたしが会長として今回選択したのは下の製品です。
グリーンライフ メッシュごみ収集庫 KDB-1500 【北海道・沖縄配送不可】 |
当自治会は45世帯なので、必要な容積は、
30リットル×45世帯=1,350Lですが、
余裕を見て1,500リットルの製品を選ぶことにしました。
こうして決めたのが、上の製品KDB-1500を2台購入です。
公称750リットルの製品なので2台で1,500リットルです。
わたしが提示した条件を全て満たしています。
- スチールに亜鉛メッキ
- 風通しの良いメッシュ
- 上面は観音開き
- 前面下部も開く
- 安いと思ったら中国製でした
- 750リットルを2台購入
- 折りたたみの必要性はありません。
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値段は変動するもの
今回購入するにあたって、品番を決めてから価格調査をしました。
すると驚いたことに、同じ製品で値段が2倍以上の開きがあるのです。
調査した時点で最も安いショップでは、69,200円でした。
これをプリントして、自治会の役員会にかけて、幹部の了承を取リました。
ところが、翌日の朝、発注しようとしたところ、なんと94,800円に値上げしていたのです。
25,600円(+37%)の大幅な値上げです。
ネットショップでもこういうことがあるのですね。
目次に戻る値幅を調べてみたら
上記の最も安いショップは、大幅値上げになったので、他のショップも調べてみました。
次に安いところは、70,270円でした。
最も高いところは、157,400円ですから、2倍以上の開きです。
(メーカーも品番もまったく同じ製品です)
きちんと価格調査をして、安いショップを探さなければいけません。
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送料別に注意
実は、一番安い価格である70.270円は、送料別なのです。
送料が4,500円なので、合計金額は74,770円になりますから、送料を加えると最も安いショップではありませんでした。
商品が重くて大きいので、送料が1万円を超えているショップもありました。
送料の確認は絶対に忘れてはいけません。
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領収証の発行を確認しましょう
通販会社の中には、領収証を発行してくれない会社があります。
クレジット会社発行の『ご利用代金明細』を領収書にかえさせて頂きます。
当店で発行はいたしておりません。
ところが、町内会や自治会は、一般に法人格を持っていませんから、クレジットカードを所有していません。
そこで、普通は、会長とか会計担当などの個人のカードで購入することが一般的です。
そうしたときに、個人名義の『ご利用代金明細』では、会計処理の具合が悪い場合があります。
事務的なトラブルを避けるために、自治会宛の領収書を発行してくれる会社を選んだほうが安全です。
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まとめ
たまたま、住民の苦情が持ち上がった時期に自治会長になってしまいました。
ゴミ問題の始まりは、カラス対策として大型のゴミ箱を設置する役目でした。
途中からカラス対策よりも、ゴミ箱の選定そのものに悩んだ作業でした。
たくさんの材質がある中から、スチールに亜鉛メッキを選んだ理由は、
安いことに加えて、耐久性の実績が大きかったからです。
意識して探してみると、
亜鉛メッキは鉄塔や橋梁など身近にたくさん使われていてその耐久性と保守の容易さは証明済みです。
費用は、144,000円でしたので一戸当たりの負担金額は3,200円で済みました。
この程度の費用であれば、住民が話しあえば出せない金額ではないと思います。
ウダウダとカラスに文句を言っているよりは、さっさとゴミ箱を買って根本的な解決をする方が精神衛生上も良いと思いますよ。
たまたま、自治会や町内会の責任者になってしまい、大型ゴミステーション選定などと言う慣れない作業をすることになった人に対して、わたしの経験談を贈ります。
多少なりとも、参考にして頂ければ幸いです。
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購入後の追記
ゴミ箱購入から約1年が過ぎました。
住民の評判は極めて良好です。
良い物を選んでくれたと、感謝の言葉を何度も受けました。
カラス対策で困っている自治会や町内会の皆さんは、議論をしているよりも、3000円を出し合ってゴミ箱を設置するのが良いですよ。
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