指輪のサイズ直しの方法はどうやるの?大きくって出来るの?

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太ったり痩せたりして指輪がきつくなったり緩くなることがありますね。

緩い方はともかく、きついと感じて一旦外してしまうと、そのままタンスの肥やしになってしまうことも少なくありません。

そんな時には宝飾店に持ち込むとサイズ直しをしてくれますよ。
もちろん大きくだって出来ます。

大きくすることを、サイズアップと言います。

ロウ付け法と鍛造法

指輪のサイズ直しには、一般的に2つの方法があります。

『ロウ付け法』と『鍛造法』です。

他にも、内面の肉厚を薄く削り落とす方法など特殊な加工方法もありますが、一般的なサイズ直しにはロウ付け法が採用されます。

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ロウ付け法

『ロウ付け法』は、指輪の一部をカットして広げ、地金を足してからロウ付けで再接合します。

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サイズアップの場合は、同種の金属を足します。
指輪の状態にもよりますが、3号アップ程度までは対応できます。

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鍛造法(たんぞうほう)

『鍛造法』は、金属を強い力で無理矢理に形を変える方法です。
古くから日本刀の鍛造として、刀鍛冶が金属を叩いて形を整えていきますが、基本的にはアレと同じです。

鍛造法では、大幅なサイズ直しをすると割れてしまいます。
せいぜい1号アップ程度の拡張と考えておきましょう。

また、割れやすさから、鍛造可能な金属材料には制限があります。
さらに、宝石が付いている指輪は壊れやすいので、適さないとされています。

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作業は丁寧に

お客様の大事な指輪にキズをつけたり変形させたりしてはいけないので、腕の良い職人さんが丁寧に作業をします。

ロウ付け法と言っても、単純に切ってつないで終わりではなく、たくさんの工程があります。

  1. サイズ棒でカットする長さを確認
  2. 糸鋸で指輪をカット
  3. ロウ付け(必要に応じて地金を足す)
  4. 円形修正(木槌で叩く)
  5. バリ取り(ヤスリがけ)
  6. つやだし(バフ研磨)

下の動画は、ロウ付け法でサイズダウンをしているところで、ほぼこの工程順に作業を進めていますので、その手順をご覧ください。

きちんと処理された修理品は、修理した形跡はまったく分かりません。
とは言っても、まれに僅かな色ムラやキズが残ることもあるそうです。

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料金は3,000円程度から上限なし

宝石がついていなくて模様や彫刻がない単純な甲丸リングのロウ付け法のサイズ直しが最も簡単で、3,000円程度からやってくれます。

今回わたしが調査した範囲では、最も安いところは、1,600円からというお店もありました。

ただし、指輪の太さやデザインや材質によって加工条件が変わり、大幅な料金の差がありますので、事前に確認が必要です。

サイズアップは、地金を足すので材料費が加算されます。
金やプラチナの相場に合わせて、グラム表示で料金を提示する店もあります。

材質によって変わりますが、材料費の加算は1号アップごとに500円程度は見込んでおきましょう。

宝石付きとか模様や彫刻ありの指輪の場合は加工が難しくなりますので、場合によっては修理を断られることもあります。

外側のデザインを変更させたくないからと、リングの内側を削り落として内径を大きくする方法や、ホワイトゴールドのコーティング仕上げ、彫刻のやり直しなど、手間ひまのかかる修理が加算されると、料金に影響します。

時には、2万円を超える場合もありますので、必ず事前に見積もり金額を確認しましょう。

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修理ができない指輪

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材質によってはダメ

金、プラチナ、ホワイトゴールド、シルバー、真鍮なら、ほとんどのところで対応してくれます。

しかし、チタンやタングステン、パラジウム、ステンレスなどの素材は修理を断られるかも知れません。
硬いので、簡単に切ることが出来ないのです。

また、「金とプラチナ」のコンビネーションリングも、一般的に修理を断られます。
2つの材質を合わせるので、なかなか同じように出来ないからです。

出来ないというと語弊がありますが、加工料金が高くなりすぎるので、修理の意味があるのかなというところですね。

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全体に彫刻や模様がある指輪はダメ

  • 全周にわたって彫刻が施されている指輪
    BVLGARI
    なんかによくあるデザインですね。
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  • 内面にメッセージが彫り込まれている指輪
    結婚指輪などでは、一般的に内側にイニシャルやメッセージが彫り込まれています。
    この一部が欠けてしまう可能性があります。
  • 全周に石が付いている指輪
    エタニティリングといいますが、全周にダイヤモンドやルビーが埋め込まれていると豪華ですよね。
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これらの指輪の一部をカットしたり、継ぎ足したりすれば、デザインが変わってしまいます。

デザイン変化が許容されるのであれば修理可能ですが、見た目を変えないようにと指定されると、サイズ直しは困難です。

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海外購入品にも注意

海外旅行の記念に買ったリングや、おみやげで頂いたものなども注意が必要です。

アメリカでは丈夫で実用的な14金が主流であり、日本の18金とは違います。

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18金しか扱っていない日本の業者では、加工経験のない14金の修理をお断りする場合もあります。
硬度や耐熱温度などが微妙に違うので、変色や変形に責任が持てないからと。

また、途上国で格安で購入したものには、表示と異なる品質の物があったりしますのでこれも注意が必要です。

いずれにしても、加工する前に事情を説明して十分に話を聞いて、ある程度のリスクを覚悟する必要があるかもしれません。

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見えない所を無視すればなんでもあり

デザインの制限と言っても、手のひら側(石の反対側)で見えない所はどうでもよいと割り切れば、どんなサイズ直しも可能です。

例えば、金とプラチナのコンビネーション・リングでも、どうせ見えないからと手のひら側に金だけを足して伸ばすことも出来ます。

極端な場合は、裏側を切り欠きにすれば、大幅なサイズアップが可能です。
サイズアップというよりも、フリーサイズ加工ですね。

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勿論、切欠きの端部は丁寧に丸めて研磨しますから、引っかかって怪我をするようなことはありませんが、子供のおもちゃのような軽い雰囲気になるので、相当な割り切りが必要です。

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通販でも修理可能

お近くに適当なジュエリーショップが見当たらない場合には、通販でのサイズ直しも可能です。

先に、指輪を業者に送って、見積のメールを貰います。
その金額で良ければ、正式な注文になります。

この業者を私自身は使ったことがありませんが、レビューの評価が良い所を選びました。

2,000円からと安いので検討の価値はあるかと思いますが、必ず金額を確認して、ご自身の判断で注文してください。

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まとめ

わたしの妻がこんな経験をしています。

ある日、指輪がきつくなったので、自分で勝手に「太った?」と思い、サイズ直しに持ち込みました。
ところが、プラチナが歪んで楕円になっていただけなのでした。

「サイズ直し」だと覚悟して持ち込んだのですが、結局、サイズ直しはせずに、丸い型に当てて叩いて直してもらったのです。
素人だとこんな勘違いもあるのですね。

同時に、丁寧に磨いてくださったらしく、ものすごく光って戻ってきたので、とても嬉しかったと騒いでいました。

こうして輝きを取り戻すことも、ジュエリー修理の喜びの一つのようです。

多少断言口調になりますが、本文の要点をまとめておきます。

  • 指輪を大きくするサイズ直しは、3号アップ程度までは加工できる。
  • サイズアップは、宝石の反対側のリングをカットして広げ、地金を足して再溶接する。
    この方法を、「ロウ付け法」という。
  • サイズアップ可能な素材は、ゴールド、シルバー、プラチナ、真鍮。
    外国製品は、材質が微妙に違うので、要注意。
  • エタニティリングは内側を削ってサイズアップに対応するが、せいぜい0.5号~1号アップ程度まで。
  • 背面に切り欠きを入れるフリーサイズ加工なら、幅広い対応が可能。


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