霧の種類は5つに分類されてそれぞれに名前があります

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『霧に包まれる』とか『霧にまかれる』とか、見通しが悪くなっている状態を、『霧』と言いますが、なぜ霧が出来るのか、どんな種類があるのかを調べてみました。

霧の定義は

霧とは、地表面付近で水蒸気が凝結して小さな水滴となり、空気中に浮遊している状態のことですが、見える距離によって、つまり霧の濃さにうよって、もや(靄)に別けられます。

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どこまで遠くが見えるか

要するに、どこまで遠くが見えるかによって霧ともや区別をしているのです。

見通しが悪いほうが霧で、遠くまで見えるほうがもやです。
霧のほうが濃いのです。

気象用語では、視程1キロメートル未満を「霧」といい、1キロメートル以上であれば「もや」と定められています。

視程とは、物体がぼやけないではっきり見える水平方向の距離のことです。

見通しが1km未満を霧といいますが、さらに見通しが悪くて地上で100mまでしか見えない場合は「濃霧」として区別することもあります。

海上における濃霧の基準は500mです。
これは、船の航行において、100mまで接近してしまっては衝突を回避しようがないので、距離を長く設定したものと思います。

見通しが悪い状態でも視程が1km以上あれば、霧ではなくもやと言います。

東京からはるか100km離れた富士山が見えないからと言って、もやがかかっているとは言いません。

では、見通しが悪いとはどのくらいでしょうか?
概ね10kmぐらいまでしか見通せない場合がもやなのです。

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霧の粒子は雲と同じ

霧ともやは小さな粒子が空気中に浮遊しているので、見通しが悪くなるのです。

その粒子とは、直径数十ミクロン以下の小さな水滴または氷の粒です。
※10ミクロンとは、0.01mmの大きさです。

水滴または氷の粒が霧ともやの正体なので、地表付近に発生した雲とみなすことが出来ます。

水滴が原因ではなく、砂埃(砂ぼこり)、工場のばい煙、排気ガスなど、乾燥した粒子で見通しが悪くなった状態を気象用語では「煙霧」といいます。

煙霧は、雲とは性質が違います。
当然、霧とも違う性質です。

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霧は5種類に分けられる

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放射霧

風が弱く晴れた日の夜は、放射冷却によって地面が冷えます。

地面が冷えて、明け方近くになって地表面近くの空気の温度が下がり、水蒸気が凝結して霧が発生します。
これが放射霧です。

風が強い日や曇の夜は、放射冷却の影響が弱まるので、放射霧は発生しにくくなります。

日の出後は気温が上がるので、霧粒は蒸発して霧は消えてしまいます。

地形的には、山間部の盆地に冷気がたまり、放射霧が発生しやすくなります。

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移流霧

移流というのは気象用語で、空気のかたまりが水平に横移動することを言います。

暖かい空気が、温度の低い地面や海面に移動して冷やされて、水蒸気が凝結して出来る霧が移流霧です。

暖かい黒潮の上にあった空気が南からの風に流されて、冷たい黒潮の海面に移動して霧が発生する「海霧」が、代表的なものです。

この霧は、北海道に東の海でしばしば発生します。

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蒸気霧

水蒸気を多く含んだ空気が、まわりの冷たい空気と混合して飽和に達した場合に発生する霧で、混合霧と言うこともできます。

寒い戸外で吐く息が白く見えるとか、ヤカンの吹き出し口で発生する湯気と同じ原理です。

実際の霧の例としては、大きな河や湖が凍結する前に冷たい北風が吹き込むと蒸気霧が発生します。

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前線霧

温暖前線で長時間雨が振り、空気の湿度が高まったところに上空の暖気から比較的高温の雨粒が落ちてくるときりが発生することがあります。

これが前線霧です。

身近な現象としては、閉め切った風呂場でシャワーを使うと湯気がたちこめる現象と同じです。
シャワーの暖かい水滴が蒸発して風呂場の空気が過飽和になって、霧が発生するのです。

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上昇霧

風に流されて、山の傾斜面に沿って空気が上昇すると標高が高くなり空気の温度が下がります。
(断熱膨張の原理です)

透明な水蒸気は冷やされると水滴になる性質がありますから、ここで霧が発生することがあります。
これが、上昇霧です。

麓から見ていると、山に雲がかかったように見えますが、山を歩いている人たちにとっては霧がかかった状態なのです。

この点からも、雲と霧は同じものだと言うことが理解できますね。

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まとめ

霧は地表付近で発生する雲と言ってもいいでしょう。

霧の発生メカニズムによって5種類に分けられていますが、いずれも透明な水蒸気が過飽和状態なることによって、小さな小さな水滴としてあらわれ、空中に漂う現象です。

水滴は、時には小さな小さな氷の粒かもしれません。

海上に発生する濃霧は、気象衛星の画像にも写って見えることがあります。

霧は、見通せる距離が1km未満です。
もやは、見通せる距離が1km以上で10kmまでなので、霧よりも薄い状態です。

似た言葉で霞(かすみ)がありますが、かすみは気象用語としては使用されません。
かすみは、仙人が食べるものなのでしょう。


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