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メカニカルジャンベとアフリカ民族ジャンベの特徴とは
ジャンベは西アフリカ発祥の民族打楽器ですが、よく響く低音の伸びと、キレの良い高音の響きが、現代音楽にもマッチすることが知られて、ロックなどのステージ音楽にも採用されるようになってきました。
広いアフリカの大地に響かせるジャンベの音は数km先まで届くと言われています。
目次に戻るアフリカジャンベの問題点
しかし、この大平原の野生児のようなトラディッショナルジャンベをステージ音楽に適用させようとすると、いくつかの問題点も見えてきます。
箇条書きで列挙してみると次の3点です。
- とにかく重い。(14インチクラスになるとほぼ10kgになります)
- ロープチューニングが煩雑。
- 山羊皮のヘッドが湿度によって変化するので管理に注意。
- 天然木材のボディ(シェル)にヒビが入る
メカニカルチューニングジャンベの技術対応力
欧米のパーカッションメーカーでは、これらに対応出来る技術を持っていました。
胴の材質やヘッド構造などドラムセットの工業的な技術が応用できるのです。
重さとヒビの問題は、天然木材の代わりに、グラスファイバーまたは圧縮材を使うことで解決できます。
ロープチューニングが煩雑である点は、メカニカルチューニングで対応できます。
ロープチューニングってこんな構造で、皮を引っ張っているロープを締めてテンションを調整します。
メカニカルチューニングは、メーカー各社によって設計が違いますが、基本的には、ネジでテンションを調整しますから、レンチのようなツールで簡単に絞めたり緩めたり出来ます。
最後に山羊皮の湿度の問題は、ポリエステルなどのプラスチックフィッルムを使うことで解決できます。
こうして、パーカッションメーカー各社の製品が出揃ったのです。
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メカニカルチューニングジャンベの製造メーカー
目次に戻るREMO
プロの演奏家がステージで使っているのをよく見かけるのがREMOのジャンベです。
REMOは、デュポン製のポリエステルフィルムであるMylar®で、世界で初めてプラスチック(PET)ヘッドのドラムを開発しました。
その後、単純な印刷ではなく、特殊なラミネート技術によってヘッドフィルムへ耐久性のある印刷を可能にしました。
その成果として面白いデザインのヘッドがあります。
REMOでは、ロープジャンベは生産していません。
REMOは1957年設立でアメリカのカリフォルニア州に本社があるパーカッションメーカーで、日本ではヤマハが代理店になっています。
下の動画は、REMOのジャンベとギターとのセッションです(約1分間)
TOCA
TOCAもステージ演奏でよく使用されています。
Toca Percussionは、アメリカのテキサス州に本社がある会社です。
TOCAのジャンベは、メカニカルチューニングの構造だけではなく、ロープチューニングのジャンベも生産しています。
初心者向けからプロ仕様まで、品揃えが豊富です。
面白いのは、プラスチックヘッドとロープの組み合わせとか、その逆でメカニカル構造で本革のヘッドなど、変化に飛んだ製品が選べます。
管理人も、持ち運び練習用に、TOCAのロープジャンベを1本所有しています。
しかし、旋盤加工の製品なので、やはりアフリカ現地のノミで削って作った手作り製品とは趣が異なります。
日本では、株式会社日本語楽が取り扱っています。
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LP
LPは1964年にニューヨークで設立されました。
キューバ危機の際に、ラテン音楽の楽器が輸入できなくなり、創設者のMartin Cohenが自分自身のために楽器工房を立ち上げたのです。
その後、経営者が何回か移転して、現在はアメリカのカリフォルニア州にある会社です。
LPはLatin Percussionの短縮形で、名前が示す通りラテン音楽のパーカッションを専門にしています。
ジャンベも生産していますが、得意なのは、ボンゴやコンガなどラテン音楽の楽器です。
管理人は、LPのカホンを1本所有しています。
LPのジャンベは、金具が立派できれいですね。
メカニカル構造ですが、プラスチックのヘッドと山羊皮のヘッドの製品があります。
少量ですが、ロープチューニングのジャンベも生産しているようです。
日本では、モリダイラ楽器が取り扱っています。
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MEINL
Meinl Percussionは、ドイツのGutenstettenを拠点とする打楽器メーカーです。
創業は1951年と古く、最初は管楽器からスタートしましたが、翌年のシンバルで成長しました。
日本から手頃な価格の楽器を求めてパールのヨーロッパ輸入を始め、後にTamaとIbanezの楽器も輸入しました。
現在は、パーカッションの総合メーカーとして、多品種の商品を展開しており、ジャンベの種類も、メカニカルチューンとロープチューンがあり、サイズもミニジャンベからフルサイズの本格的なものまで、実に101種類がサイトに提示されています。
管理人の個人的な感覚では、ジャンベよりもカホンの方が有名だと思っています。
日本では、名古屋の株式会社キョーリツコーポレーションが取り扱っています。
目次に戻るPEARL
パール楽器製造株式会社は、千葉県八千代市にある日本の楽器メーカーで、打楽器とフルートを生産しています。
設立は1952年(昭和27年)と歴史が古い会社で、シンバルとドラムセットで知られています。
ドラムセットでは、上記のREMOの構成樹脂ヘッドの代理店にもなっています。
ジャンベは品揃えの一貫という感じで、ミニジャンベと下の写真の2品種だけのようです。
メカニカルチューニングとロープチューニングを組み合わせた面白い構造になっています。
ミニパーカッションセットがユニークです。
管理人も、Pearlのミニボンゴを所有しており、小型ながら高音の響きが大きくとても気に入っています。
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まとめ
メカニカルチューニングのジャンベの製造メーカーを5社紹介しました。
メカニカルチューニングのジャンベを求めている人なら、民族楽器としてのアフリカ音楽を楽しむのではなく、ステージ音楽として、他の楽器とのセッションを目的としていると思います。
そのために、軽くてチューニングの操作性がよく、湿度などの保存管理にあまり気を使わなくても良いジャンベを探しているはずです。
目次に戻るおすすめはREMO
そういう方に、管理人のおすすめはREMOでしょうね。
REMOの12インチが標準的なおすすめとして、太い低音を望むなら14インチを選択すれば良いと思います。
REMOをおすすめする理由は、プロのアーティストがたくさん使っているので、ステージ音楽としての実績と信頼性があります。
それと、ヘッドの流通が多いので、必要なときに比較的簡単に、安く手に入ります。
これって、案外重要なことなのです。
ヘッドが必要になってから、これから輸入しますと言われたら大変ですからね。
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次のおすすめはTOCAかMEINL
TOCAを使っている演奏家もいますが、REMOより少ない印象です。(根拠はありませんが)
MEINLはドイツの会社なので、アメリカかドイツか好みで選べばよいでしょう。
品質的には、どちらも遜色ないと思います。
TOCAもMEINLも品種が多いので、あまり迷わないで、プラスチックヘッドとメカニカルチューニング構造を選んでください。
REMOと同じで、通常は12インチで良いと思いますが、低音を強調したいのなら14インチを選びます。
管理人は、実はアフリカ産の手作りジャンベ派なので、正直なところ、メカニカルジャンベにはあまり馴染みがありませんので、一般論として受け止めてください。
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