夏休みになると、必ず読書感想文が課題として与えられます。
子どもたちにとっては、これが大変苦手なようです。
読書感想文の書き方の技術的なことは『入賞できる読書感想文の書き方を悪い例から逆に教える指導法』で詳しく説明しているので、そちらをご覧ください。
この記事では、読書感想文が本質的に求めていることを明確にして、入賞する読書感想文のコツをお伝えします。
そもそも読書感想文という名前が良くない
『感想』とは、大辞林によると「あることについて、感じたり思ったりしたこと。」とされています。
ですから、『読書感想文』というと、「本を読んで、感じたり思ったりしたことを書く文」になりますね。
ところが、読書感想文の審査員は、あなたがどう感じたかどう思ったかなんて、全然気にしていないんですよ。
つまり、感激した、面白かった、かわいそうだった、そんな感想はどうでも良いのです。
感想ではなく、本を読んだあとであなたが変わった点を書く
審査員が知りたいのは、あなたの感想などではありません。
面白かったとか驚いたとか、感動したとか泣いたとか、そんなことは重要な事項ではありません。
読書の結果、あなたがどう変化したのかが重要なのです。
本を読んだあとであなたがどのように変わったかを知りたいのです。
良い読書は、結果として人の行動や考え方に影響を与えるものです。
人生の中で、自分自身に大きな影響を与えた本を挙げなさいと言われて、何冊か思い当たる人も多いことでしょう。
読書の効果とは、単純に面白かったとか驚いたにとどまらず、大げさに言えば人生や生き方に影響を与えるものなのです。
そのような影響や効果をうまく表現した「読書感想文」が、高い評価を得ることになります。
理想的なのは、「わたしの人生を変えたこの一冊」ですが、夏休みの課題図書でそんな大げさなことはありませんね。
小さなことでいいんですよ。
変化した内容とは、例えば次のようなことです。
- 「ありがとう」って言うことが多くなった
- 早起きするようになった
- 兄弟ケンカが減った
- 犬の散歩をするようになった
- 野菜を食べるようになった
- 忘れ物が減った
など、細かいことでいいんです。
小さな変化でいいですから、何か探しましょう。
この部分はイントロの次に、軽くまとめましょう。
原稿用紙5枚の課題であれば、原稿要旨の半分(10行)程度です。
なぜ変わったのか、その理由が書かれている場所を探す
夏休みの読書感想文では自由課題の場合もありますが、課題図書を与えられることが多いですね。
学校から課題図書として与えられるのですから、教育上好ましくない本を勧めるはずがありません。
必ず、いいことが書いてあるはずです。
その辺を考慮して、自分の行動や考え方が変わったきっかけになった部分を探し出します。
本を読んだあとで、何かの影響を受けたと感じたら、どのページだったかを探しましょう。
影響を受けたと思えるところが、いちばん大事なところです。
それは、1ヶ所ではないかもしれませんね。
2ヶ所、3ヶ所でも構いません。
自分の変化に影響を与えた部分を抽出してまとめる
本の中から、自分が変わったことに関する部分を探しだしたら、要点を整理してまとめて、一つの章にしてみましょう。
- 物語の本であれば、どんなことが起こったのか
- 人物が何をどう考えたのか
- 物語でなければ、どんなふうに表現されているのか
- 抽象的な事柄なら分かりやすく
できるだけ、本に書いてある言葉を忠実に反映させながら、原稿用紙5枚(2000字)の課題であれば、20行(原稿用紙1枚程度)にまとめます。
どのように影響を受けたのかを具体的に示す
前の章は、身も蓋もなく言ってしまえば単なる本からの抜き書きです。
審査員は、それを読んで、
- そこからあなたは何を感じたの?
- あなたはどうしようと思ったの?
- あなたの生活や性格とどんな関係があるの?
との、疑問を持つはずです。
それに答えるのが、この章です。
いろいろな表現方法がありますが、例えば
- 物語の主人公の境遇に自分が置かれたら、とか
- 物語の環境が自分の生活環境で発生したら、とか
- 抽象的な事例であれば、具体的な事例に置き換えて、とか
条件を仮定して、今までのの自分だったらこうしたであろうと、あなたの考え方を説明します。
続いて、上に書いたのと同じ環境で、読書の後の自分であれば、どのようにしたいのかを書きます。
この章は、あなたが変わろうとした大事なポイントですから、丁寧に書きましょう。
原稿用紙5枚の課題であれば、1枚半くらい使っても構いません。
筆がノッたら、2枚をまるごと使っても構いません。
この章の出来不出来が、全体の感想文の出来不出来を決定します。
審査員は、この章を見て、感想文の判定をすると言っても過言ではありません。
ですから、心を込めて、丁寧に書きましょう。
原稿用紙5枚の分量配分
イントロで1枚
なぜこの本を選んだのかと、簡単なあらすじを合わせてイントロとして、原稿用紙1枚にまとめます。
ここは、悩むことのない事務作業ですから誰でも書けるでしょう。
イントロは、あまり評価の対象にならないので、1枚を超えない方が良いでしょう。
読後に変わった自分の表現で0.5枚
この読書の後で、自分がどのように変わったのかを、原稿用紙半分程度にまとめて、簡単に書きます。
内容については、上の方に書いておいたので、もう一度読み直してください。
変化に影響を与えた部分の抽出で1枚
ここは、本からの抽出なので簡単です。
できるだけ、原文に忠実に引き出して、自分の考えは入れません。
本からの抽出は楽なので、ついつい多くなりがちですが、1枚を超えない方が良いです。
課題本を読んでいない審査員に伝わるように工夫します。
どのように影響を受けたかで1.5~2枚
この章が最も重要な部分です。
前の章で述べた本の中の文章と、実生活の自分との接点や関わり合い、心の中の共通点などを丁寧に書くことによって、審査員はあなたの考え方に感情移入していきます。
審査員が、あなたの文章に同調して「そうだそうだ、その通り」と思ったら、この読書感想文の金賞獲得は、決定的です。
エンディングで枚数を合わせる
ここまでで、4枚から4.5枚の分量になっています。
- イントロ 1枚
- 変わった自分 0.5枚
- 影響を与えた部分 1枚
- どう影響を受けたか 1.5~2枚
- 合計 4~4.5枚
指定文字数に対して9割以上の分量にしたいので、原稿用紙5枚の課題であれば、4.5枚以上の文字数が必要です。
前章までの長さに応じて変わりますが、エンディングの長さで帳尻を合わせます。
これまでの章でもそうですが、章ごとのタイトルは付けていませんから、ここでも「結語」などというタイトルは書きません。
文章の書き出しで、
「最後に・・・」
「まとめてみると・・・」
のような感じで、総括するような文章を書いて、全体の文字数を調整して、原稿用紙の半分以上を白紙で残さないように、うまく調整してください。
空白行が1~2行残る程度が理想的です。
分量も評価対象の大きな要素ですからね。
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