西アフリカの民族楽器である片面太鼓、ジャンベは、胴、皮、ロープから成っています。
皮は山羊皮だし、ロープは最近はポリエステル製で、材質の違いはほぼありません。
(ヤギ皮は厚さの違いがあれば、当然響きが違います)
ジャンベの材質といえば、胴を作る天然木の材質を指すのが一般的です。
目次
天然木の種類
ジャンベの胴(シエル、ボディ)に使われる樹木は、どれもアフリカに自生している大木で、日本で採れるものではありません。
アフリカ産の木は、いずれも比重が0.65〜0.9ぐらいと非常に高く、密度が高いのも特徴で、比重が高いと必然的に重く硬い材質になります。
樹木の種類によって音質の違いがあるのかどうかは、よく議論されるところですが、同じサイズで同じような羊の皮が張られていれば、あまり材質の差はないようです。
樹の材質よりも、国別のカップの深さの違いやヘッドの形状の違いのほうが、音質の差を生む要因になっています。
日本には和太鼓という伝統的な打楽器があり、和太鼓には「ケヤキ」材が使われています。
和太鼓をアフリカ産の木材で作るとまた違った音がするのでしょうか。
ちょっと興味がありますね。
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レンケ(別名:レンゲ)の樹
ジャンベと言えばレンケと言われるくらいにポピュラーな材木です。
←色見本。木目は表現していません。
赤茶褐色をしている木材で弾力性に富んでいます。
皮の耐久性を無視してピチピチに張り上げて、ハイトーンを出すにはレンケが向いているようです。
多くのジャンベ生産国で使われています。
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ドゥグラ(別名:ドゥキ、ベン、ディンバ)の樹
やや黄色っぽい樹木で、重くて、ゴツイようなイメージです。
←色見本。木目は表現していません。
高音の抜け・中音の腰の太いサウンド・ワイルドな低音。
高中低音のバランスが抜群に良いといわれています。
ギニア産、マリ産などのジャンベに使われます。
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ゲニ(別名:ハレ、バラフォン、ベン、カディ)の樹
マーブル柄の木目が美しい高級木材。
←色見本。木目は表現していません。
重くて硬いので、耳障りな帯域を吸収し、キレのよい音を作り出します。
ギニア産、マリ産、ブルキナファソ産などのジャンベに使われます。
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アカジュ(別名:アカジョ、ジャラ、レッドウッド)の樹
アカジュは「赤樹」からきているという説もあるほどに
(Acajouのスペルで書かれるのでたぶんウソです)、材の色味は赤茶褐色をしています。
←色見本。木目は表現していません。
非常に硬く木の成長が遅い高級な木材です。
「アカジュ」は「アフリカンマホガニー」という名前で日本で流通していることもあります。
赤道に近いアフリカや東南アジアではこのマホガニーのように赤味が強い木材がとれます。
高音のキレが良いです。
マリ産などのジャンベに使われています。
目次に戻るソウの樹
硬質で濃い赤紫の木。
重量があり扱いが難しい反面、扱えるようになると手放せなくなります。
←色見本。木目は表現していません。
高音は硬質な高い帯域で、低音は迫力の音質です。
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メリナの樹
軽く木の成長が早いので、植林が多く環境にもやさしい。
←色見本。木目は表現していません。
軽強度的には頑健とはいえずメンテナンスが重要な木材ですが、きちんとメンテすれば長持ちします。
マリ産をはじめ各地のジャンベに使われます。
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イロコの樹
アフリカ原産の材の特徴ともいえる樹高が高く、幹直径が1メートルを超える大木です。
レンゲの仲間の木で、林が多く、レンゲよりやや軽くてやわらかいのが特徴です。
←色見本。木目は表現していません。
コートジボワール産のジャンべはほとんど、イロコだと言われるほどです。
「アフリカンマホガニー」に比べると赤味は少なく黄褐色の色味をしています。
木目の感じがチーク材と似ているので、家具にもよく使われている木です。
アフリカ材としては比較的柔らかい部類の木材なので、彫刻の材料として使われることも多いようです。
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トゥウェネボアの樹
比較的軽量な木材です。
←色見本。木目は表現していません。
とても軽く扱いやすいので、初心者におすすめします。
ガーナ産のジャンベに使われます。
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まとめ
たくさんの樹の種類を紹介しましたが、日本において、樹の種類でジャンベを選ぶという人は少ないでしょう。
日本に輸入されているジャンベではレンケとイロコが多いようです。
相当数のジャンベを叩いて感覚が研ぎ澄まされた人でなければ、材質の差をとやかく言う必要はないと思います。
音質を左右するのは、木の材質よりも、まずはサイズ(直径)で、次はカップの形状でしょう。
結局は、実際に叩いてみて好みの音を探すしかありません。
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