入賞できる読書感想文の書き方を悪い例から逆に教える指導法

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読書感想文の悪い例を本人に見せてあげましょう

小中学生の読書感想文の書き方には、典型的な駄目なパターンが決まっています。

正しい書き方の指導も大切ですが、最初に駄目なパターンを本人に見せて、あなたはこれと同じ失敗をしているでしょうと教えてあげると、理解が速いようです。

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読書感想文の悪い例

読書感想文の書き方や要素には、大体決まったパターンがあって、それに合わせて書けばそんなに難しいものではありません。

でも、生徒たちにとっては、最も嫌な課題の一つに上げられるのが、読書感想文です。

どんな読書感想文が悪いと言われるのか、悪い例をあげてみましょう。

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    あらすじしか書いていない感想文

    最もはまりやすいのが、このパターンです。
    極端に言うと本の丸写し簡略版と言う感じ。

    文字数が稼げるから書くのが楽なんですね。

    感想文というくらいだから、なにかしら自分の考えが表現されていないとダメでしょう。

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    巻末の解説を丸写した感想文

    ちょっと頭の回る生徒に多いのですが、自分で考えても、どうまとめていいか分からなくなり、解説文を読んでいるうちに、なるほどなるほどと納得してしまい、なんとなく自分の考えと勘違いしてしまったのでしょう。

    要点を整理してみると、妙に大人びて評論家臭かったりする。
    これも悪い例ですね。

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    自己チューで読者の意識をまったく気にしない感想文

    あらすじしか書かない悪い例は結構多いのですが、逆のパターンもあります。

    読者のことをまったく意識せずに、ストーリー展開も説明せず、思いつくまま感想を並べる。

    例えばこんな感じです。

    シンデレラの靴がみつかって良かったと思います。

    姉たちは意地悪だから好きになれませんが、かぼちゃの馬車があれば乗ってみたいです。

    12時までに帰らなくてもいいようにしてあげれば親切だと思います。


    まぁ、これは極端な例ですが、シンデレラを読んでいない審査員には、何のことかさっぱり分かりませんから、当然、感動も伝わりません。

    こんな風に思いついたことを並べただけの文章って結構目につきます。

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    「すごい」とか「感動」のオンパレードの感想文 

    あらすじの導入も感想の入れ方もソツがないのですが、理由がない感想文があります。

    感動表現として、すごいと思いますとか、感動しましたとか、ホッとしましたなどと感想は書いてあるのですが、その理由が全く書かれていない。

    何故、どうして、すごいと思ったのか、感動したのか、その理由というか背景が書かれていない感想文も悪い例です。

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    本の内容に関係ない事務的な感想文

    実際には、宿題だから先生が与えてくれた本を読んだだけだとしても、その本を読む前の気持ちの状態や、読後の変化などを書くべきなのですが、淡々と事実だけを述べる。

    先生から夏休みの宿題として与えられたのでこの本を読みました。

    読み終えるのに3日程かかりましたが、そんなに難しくありませんでした。

    150ページの本なので、読む前は大変だと思いましたが、実際に読んでみたら、難しい漢字も多くないし、文章が分かりやすいので、意外に早く読むことが出来ました。


    まったく本の内容に触れることなく、読書作業そのものの記録文書はダメな例ですね。

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入賞する感想文の基本構成

読書感想文に盛り込むべき要素は決まっています。
端的に4つをあげてみます。

  1. 何故この本を選んだか(文書量の10%)
  2. 簡単なあらすじ紹介(文書量の20%)
  3. あらすじで紹介した内容に呼応する感想(文書量の30%)
  4. この本を読んで自分はどう変わったか(文書量の40%)


順番はともかく、このような要素をバランスよく配置すれば、高評価の読書感想文となります。

各項目の後ろにつけた文書量は、大体の目安です。
面白いから、丁度項目番号に合わせるように10・20・30・40%としましたが、別にふざけたわけでもありません。
大体の配分として、このくらいがちょうと良いのです。

仮に。400字詰め原稿用紙5枚(2000字)の課題だとすると

  1. が200字(10行)程度で、原稿用紙の半分
  2. が400字(20行)程度で、原稿用紙1枚
  3. が600字(30行)程度で、原稿用紙1枚半
  4. が800字(40行)程度で、原稿用紙2枚

20150716b

もちろんこれが多少崩れても問題ありませんが、目安として捕らえておくと、良否の判断がしやすいです。

内容論を詳しく書き始めると、ここでは書ききれなくなりますが、基本的な考え方だけを書いておきます。

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    何故この本を選んだか(文書量の10%)

    「宿題の課題図書だから」と言う答えが一番多いかもしれません。

    しかし、これを許したら感想文の根底が成り立ちません。
    でっち上げあげてでもいいから、前提条件は書くものです。
    例えば

    先生から勧められてこの本を取り上げた時に、自分でははっきりとは感じられませんでしたが、本がささやいているような気配がありました。

    パラパラと中を開いてみたら、普段は使わないような「abc」とか「xyz」と言う単語が目に入りました。

    これはなんだろうかと、興味を惹かれて、読んでみることにしました。
    (137字)


    でまかせでも、このくらいは書いて欲しい。

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    簡単なあらすじ紹介(文書量の20%)

    これは、簡単だと思いますよ。
    むしろ、全体の20%では収まらなくなる傾向が強いので、これよりも少なくする努力をしたほうが良いですね。

    読書感想文に、あらすじは不要だという論評もありますが、その本を読んでいない審査員を対象に書く文書なのですから、最小限のストーリー展開の説明は必要だと思います。

    課題を出した先生だから読んでいるはずだという考えは間違っています。
    県大会などに推薦されたら、審査員の先生方が、その本を読んでいるとは限りませんからね。

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    あらすじで紹介した内容に呼応する感想(文書量の30%)

    ここから、やっと感想文の本体を成す部分です。
    感想と言っても、「面白かった」だけではダメです。

    実際の課題提出では、「面白かった」「すごいと思った」という表現が圧倒的に多いのです。

    しかし、その本を読んでいない人に説明しているのですから、どうしてどのように面白いと思ったのか、何故その部分がすごいと思ったのか、
    「何故?」
    「どうして?」
    を欠落させてはいけません。

    その部分には、感想ではなく、感情が隠れているのです
    読書感想文といいますが、「読書後の感情表現文」とでも変えた方が適切だと思います。

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    この本を読んで自分はどう変わったか(文書量の40%)

    最後のこの部分は、実は前項で書いた「読書後の感情表現文」そのものなのです。

    本を読んで何を感じたかは、前項3の領域ですが、どう感じたかと言うのがこの第4項の役割です。

    結果的に、この本を読んで、あなたがどのように感じてどのように変わったかそれこそが読書感想文の本質です
    だけど、ここをうまく表現できる生徒はなかなかいませんね。


文書の量は目安だから厳密に測る必要はありません。
また、1.2.3.4.に分けましたが、実際の文章の中では、内容が入り乱れて混ざるのが普通です。

良い感想文は、それ自体が文学であり、読者(審査員)を感激させてくれます。

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書き出しのテクニック

読書感想文の書き出しは重要です。
有名な2つのパターンがあります。

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本文引用の会話から入るパターン 

「おぉ、貴方さまこそ、私が探し求めていた、昨夜の姫でございます」

その声を聞いた途端、シンデレラは、昨夜のことが夢ではないことを確信しました。


こんな風に、本文の中の感激的な会話シーンを引用して、書き出しに持ってくると、県大会の金賞とかに輝くことが多いです。

嘘だと思ったら、会話文を書き出しに引用する読書感想文を書いてご覧なさい。
案外と、構成が難しいですよ。

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自分の感情をむき出しにする書き出し 

ぼくは、読書の途中で怒りのあまり涙が出てしまいました。

シンデレラの継母は、どうしてこのようなひどい仕打ちが出来るのでしょうか。


こんな始まりの読書感想文です。

いきなり、読者(審査員)を、自分のペースに巻き込んでしまう書き方です。
これも、県大会などで入賞するパターンの好例です。
やはり、印象が強いですよね。

この子は、何を感じたのだろうかと、思わず引きこまれます。

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逆に最悪の書き出しパターンとは 

ぼくは、夏休みの宿題でシンデレラ姫を読みました。

なかなか有名なお話で、感激しました。


なんてのは、最悪ですね。
まったく感激していないことが明らかです。

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コメント

  1. ナガミー より:

    最後のが自分のと被ってて笑ったわ

  2. cacao より:

    助かりました

    • いろはに太郎 より:

      cacaoさん

      コメントありがとうございます。
      お役に立てたのあれば幸いです。